人文科ブログ
4月30日(火)人文科探究③ 1年生「図書館ガイダンス」 2年生「ポスター作製②&個別指導担当へ挨拶の準備」
4月30日(火)人文科探究③
1年生「図書館ガイダンス」
1年生の3回目は、これも例年通り、図書館ガイダンスです。ただし、通常の図書館利用ガイダンスは、1組から9組まで1学年全体で国語の時間を使って実施済み。人文科の場合はここで再度、「人文科探究」に合わせたバージョンでやっていただいております。
いただいたレジュメの内容をほぼそのまま掲載する形で、この場の流れをご紹介します。司書のS先生には、人文科探究の活動をよくご理解いただいており、これから始まる生徒たちの探究活動に直結するようなお話をいただけます。なおかつテキストの関連章をまるまる「活きた授業」で取り扱っていただいた形になります。
1. はじめに (割愛)
2. なぜ図書館を利用するの?
〇 テーマをたてるためのネタ帳作り
●広く様々な情報収集が必要
●図書館はあらゆる情報の宝庫
〇 情報源の種類と特性・探し方
●速報性・信頼性・情報量
●それぞれの長所と短所を理解して適切な情報収集を
3.図書館資料の探し方
〇 日本十進分類法(NDC)について
→ ワークシート1で体験
〇 資料の検索方法
●図書館の検索システムは漢字の間違いや誤字にメチャクチャ厳しい
※ 探したい書籍等と少しでも異なる表現で検索するとヒットしない件
●検索のためのキーワード(を考えるコツ)
●検索は文章でなく「単語」で
●(各自の探究の)テーマが絞れたら蔵書の検索はNDC・件名も活用
→ ワークシート2で体験
「検索機や(直接)本棚にいって、興味のある分野の本を1冊見つけよう」
(→ ワーク3に繋がります、新書だとそれがやりやすいとのこと)
4.(探究活動における)図書館資料の使い方
〇 小説のようには読まない
●ブラウジング
・タイトル ・表紙/裏表紙/帯 ・折り返し ・目次 ・前書き/後書き
●スキミングとスキャニング
〇 必ず記録を取るクセをつけよう
※ 自分の探究に必要な情報源を、全て購入/貸出していつも手元に置いておくわけにはいきませんので、その情報源に「早く・確実に」再アクセスするための要領を学ばねばなりません。
〇 奥付は「出典の明記」に必須!
① 責任表示(著者) ②書名 ③出版社 ④出版年
●版と刷について → アプリのアップデートに似ている
●図書以外の出典の書き方
→ ワーク3 … 先ほど見つけてきた書籍について記録をとりました
5.さいごに(探究に入るにあたり)
● まずは百科事典などの参考図書を! 何事も基礎知識を手に入れてから!
●「精読」よりも「多読」。とにかく情報を集めることが大切。
● 情報集め・資料探しは司書に相談しましょう。
● クラスルーム・検索サイトからも質問・相談受け付けています。
● 学校図書館を活用しよう。リクエストは必須です。
● 先ほどの本を「正確に元の場所に」戻しましょう。正確な場所が分からない場合は「元の場所がわからなくなった本」の棚へ…図書館の本の場所は1冊レベルで位置が決まっている件
2年生「ポスター作製②&個別指導担当へ挨拶の準備」
2年生は、先週の1年生スプリングセミナー7時間目の裏で、PC室探究初日を経ています。親PCから配信されたパワーポイントポスター枠にて、春休み中の課題をもとに作成に入っております。一方、2年生1人につき職員が1名「探究個別指導担当」としてつくのですが、その調整が終わり、組み合わせが決定しましたので、この日はその紹介とその先生方のもとへ挨拶回りする準備の時間にもなります。
途中、必要な資料を順番に取りに並ぶシーンもありました。1枚ずつ取りそろえると、1枚1枚への意識も強まるかもしれません。
昔(旧教育課程、3月に卒業した代まで)は学校全体で人文科1年生と2年生の「人文科探究」だけが飛び出しで水曜7限でしたので、つまり人文科探究の授業担当以外は「放課後」になっていましたので、この7時間目に一斉に各自の担当の先生に会いにでかけていたのですが、現在は全学年が火曜7時間目に授業をやっております。よって、挨拶回りは早くてもこの日の放課後。実際、この日以降、昼休みや放課後に職員室に次々と生徒たちが訪れて、時期だなあ、と思うこの頃です。
2年生!自分の研究が形になるステップも、楽しんで!
4月23日(火) スプリングセミナー! その4
4月23日(火)スプリングセミナー! その4
7時間目 OBOG講演会
スプリングセミナー最後の時間には、人文科を卒業して2年目、大学2年生の先輩たちをお招きして、新入生にアドバイスをいただいています。今年は4名の先輩たちが都合を付けてはせ参じてくださいました。本当に感謝しています。
この先輩たちの代はコロナ禍の影響を最も受けた代です。本格的に登校が始まったのが6月、以降人文科の独自行事もことごとく中止を余儀なくされました。それでも、どうにかして設けた代替行事や、3年間の間にだんだんと縮小版から復活していった学校行事の際は、高校生本来のしたたかさをもって、精一杯楽しんでいました。
1年生は高校生になったばかりな上、「普通科に極めて近い学科」とは言え、「人文科」という学科に入って不安もあることでしょう。先輩たちからは、「春日部東高校の人文科でどんなふうに過ごしていけばいいのか」を、ざっくばらんにお話しいただきたいと思います。
この時間は主任の私が司会を務めます。じゃあどうぞ、と丸投げしても、先輩たちも噺家ではありませんし、こちらからの質問に対して思うところを順番にお答えいただく形で進めました。途中、後半で質疑応答時間も設けましたが、私から投げかけた質問は以下の通りです。
❶勉強の仕方
❷部活と勉強の両立のコツ
❸探究へのアドバイス
❹人文科でよかったこと
~1年生から質問タイム(複数ありましたが、1つ選びました、「大学ってどんな場所、なぜ行く?」)~
❺1年生のうちにやっておいたほうがいいこと
❻人文科あるある
先輩たちからどんなお話があったかは、生徒たちが記入して提出し、担任と副担任のお2人に選んでいただいた11人分のノート冊子から、総合して紹介します。
T先輩 女子 獨協大学 法学部 法律学科 2年生
❶勉強の仕方
・通学中にやる。電車の中など。スマホにいってしまうともったいない。
・英単語、読書など←活字に触れるのはいい
・長文で分からない単語は大きめの付箋にメモし、それをノートに貼った
❷部活と勉強の両立のコツ(吹奏楽部、平日も休日もみっちり活動)
・部活は全力でやる、引退までやると勉強へのけじめになる
・平日部活 → 休み時間に単語帳
・休日部活 → 朝、30分でもやる。特に夏は涼しくてやりやすい。
❸探究へのアドバイス
・情報収集が大事。これをサボると後々苦労する
❹人文科でよかったこと
・クラスが3年間替わらない → 友達がずっといる
・3年間同じ仲間で団結力があがる
・大学でのイベントは参加が非強制、高校での体育祭、文化祭などの同じクラスでの活動は良い思い出
・探究活動は文章力や忍耐力が向上する、大学でもレポートなどで活かせる
~1年生から質問タイム(大学ってどんな場所、なぜ行く?)~
・自分が勉強したいことを専門的にできる
❺1年生のうちにやっておいたほうがいいこと
・英語をやっておくといい → 単語をしっかり覚える (関連して)英検2級は早いうちにとっておくといい、受験で英語が免除になる場合アリ
❻人文科あるある
・校章が普通科と違う(えっそうなの!?と横の先輩)
T先輩 男子 國學院大學 経済学部 経営学科 2年生
❶勉強の仕方
・放課後残って19:00くらいまで勉強
・1年生のうちはテスト勉強に重点をおいた
・(お勧めはしないが、こなさねばならない)本を割いて薄くして、やる気を維持した
❷部活と勉強の両立のコツ
・両立できないパターンもある、自分は失敗例、学んだことは↓
・「無理を続けても続かない、休むべき時は休む、睡眠とメリハリが大事、部活等で遅くなったら無理せず寝る」
・自学よりも学校の課題をきちんとこなす
❸探究へのアドバイス
・具体的な案を決めたら、2年生になったら1人につき1人付く個別指導担当を「利用」しよう、大人の意見は参考になる
❹人文科でよかったこと
・縦のつながりが強い → 社会経験になる
・クラス3年間同じ → 仲の良い友達とずっとつながる、クラスの結束力が強くなる
~1年生から質問タイム(大学ってどんな場所、なぜ行く?)~
・将来の選択肢が広がる
・夢を見つけるため
❺1年生のうちにやっておいたほうがいいこと
・学校生活を楽しむ
・恋愛をしよう(笑)受験期になるときつい
❻人文科あるある
・普通科に対抗心抱きがちだよね
M先輩 女子 日本大学 文理学部 史学科 2年生
❶勉強の仕方
・テスト勉強は2週間前から始めた、苦手な科目は3週間前から
・中学よりも科目が多い → 計画をしっかり立てる、自分なりの勉強法を確立する
・古典や英語、音読は大事
・単語帳を作り、ペラペラみて覚えた
❷部活と勉強の両立のコツ(女子ハンドボール部)
・週6部活、土日も部活
・平日は次の日の小テストの勉強や、予習をする
・(当時あった)朝勉などの時間で課題や暗記系のものをやる
・与えられた課題はしっかり
・無理はしない、自分に必要なものを決める
❸探究へのアドバイス
・論文の書き方…資料や自分の言葉が大事
・自分のものにする
・大学のレポートなどに役立つ
❹人文科でよかったこと
・論文や人文科独自のイベントがある
・大学でも留学プログラムなどは自分で申し込む
・他のところではできないから主体的に参加しよう
・主体性を養える
~1年生から質問タイム(大学ってどんな場所、なぜ行く?)~
・自分のためになることがたくさんある
・組織に所属することの大変さと大切さを知れる
❺1年生のうちにやっておいたほうがいいこと
・英語、特に単語をやっておくと2、3年で苦労しない
❻人文科あるある
・社会科が得意な人が多い
Y先輩 女子 明治大学 政治経済学部 政治学科 2年生
❶勉強の仕方
・テスト勉強はやっておいたほうがいい → 大学の幅が広がる/習慣が身に付く
・大学に入るため
・自分の勉強法
・リスニング聞き流し
・英語の音楽をアプリに入れる
❷部活と勉強の両立のコツ
・(この状況自体)高校でしかできない、全力で(両立を)
❸探究へのアドバイス
・自分の興味のあるもので探究するべき
・2年間やることになる、先生などの前で発表もある
❹人文科でよかったこと
・探究でパソコン操作に慣れた → レポートやプレゼン作成に
・各種英語研修役立つ、ディスカッションなど
~1年生から質問タイム(大学ってどんな場所、なぜ行く?)~
・自分に合ったものがみつかる
❺1年生のうちにやっておいたほうがいいこと
・1,2年生は高校生活を楽しむ
・検定は重要
❻人文科あるある
・数学が苦手な人が多い、でも数学も大事です
この後、1年生からお礼の言葉を述べ、先輩はいったん退場してとなりの準備室へ。
退場後は、この場で担任のT先生が帰りのSHR。椅子の向きを基に戻し(前回ブログご参照)、1年生の長くて短いスプリングセミナーも終了です。
放課後まだ卒業生と話したい生徒がいるかもしれないので、先輩たちには残って頂きました。例年、3年生でやはり卒業生を招いて行うキャリアガイダンスにおいては、放課後継続して話を聞きたい生徒が出がちですが、スプリングセミナーの場合はなかなかいませんでした(まだ1年生ですから)。ところが、今年は希望する生徒が出ましたので、先輩たちには再度会場にお戻り願い、しばしご歓談。
最後に、「11人分のノート冊子」から3枚ほど選んで、全体の感想頁を画像でご紹介します。
連続7時間、お疲れ様でした!さあこれで、生徒たちもいっきに人文科探究に入り込んでいきます。
4月23日(火) 1年生スプリングセミナー! その3
4月23日(火) 1年生スプリングセミナー! その3
「5時間目・6時間目:SDGs 壁新聞作りと発表」
午後は、新しい担任のT先生にお願いして、「SDGs壁新聞作り」と「発表」の時間です。
実は、昨年度末に検討の結果、人文科探究の2年間の学習指導計画を見直しました。1年生がより各自の研究に入りやすいように、特に1年生1学期の内容を組みかえたのです。これにより、通常の火曜日7時間目の「人文科探究」授業で扱う内容をいくつかスプリングセミナーに組み込み、通常授業の方に工夫の余地を設けました。
しかし、実は逆に、この壁新聞作りの時間は1コマ分減らすことになりました。相当忙しい2コマになることは予想しておりましたが、経緯をご存じないT先生が、しかし強力に牽引して、また生徒たちもよくついてきて、過去の現場を知らない人が見れば「グダグダする時間も無く、きびきびとできたのでは」という感想を持ったことでしょう。
作業に使う新聞ですが、各班に4社ずつ欲しいので、単純計算で40束必要です。例年、予め予告とお願いの上、前日に1学年と2学年の全教室から新聞をいただいてくるべく1年9組から生徒を派遣します。春日部東高校では原則毎日全教室に4~5社の新聞が届きますので、前日4月22日発行分をいただいてくるわけです。
あらかじめ新聞を確認しましたところ、たまたまこの22日の記事のラインナップは、SDGs17項目のアレだ!と判断しやすいものが少なかったものですから、T先生と相談の上、無理にSDGsに拘らなくてもいいことにしました。
2時間の流れは例年通りです。
まずは各班4名で4社の新聞を分け合って(T先生の機転で、バラしてもよいことに)、自分の班の壁新聞に推薦したい「気になる記事」を見つけます。
推薦したい記事が見つかったら、次は班で自分の記事が採用されるように、見つけた記事のプレゼンを行います。編集会議ということになります。
各班、壁新聞に採用する記事が決まったら、台紙にレイアウトを始めます。壁新聞には独自の新聞名をつけて(なにも「SDGs壁新聞」でなければならないということはありません)、編集者名(班員名)を明記して、また各記事にはSDGs付箋をつけてコメントも書き込みます(分類できるならば)。
5時間目と6時間目の間の休み時間は、全員共通で設けませんでした。チャイム間に「トイレに行きたい人だけ、行ってきなさい」と。案の定、殆どの班で作業が続きました。
6時間目に入って、予定では少しだけ「編集作業が終わらない班が続けてやれる時間/完成した班は発表練習に入れる時間」を設けてありました。しかしその後は全班共通で「発表練習」に入らねばならない時間。後ろが決まっている場合の、逆算して「どうしてもこの限度はゆずれない」というポイントをしっかり守る、というのはなかなか難しいことだと思いますが、T先生、強力に進めてくれました。スゴイ!
発表の時間は、いずれやることになる「ポスター発表」の簡易版になります。発表者も聴衆もローテーション。1回目の発表タイムで、各班のAが自分の班の壁新聞を発表している時に、BCDはそれぞれ別の班の発表を聞きに行く。2回目は各班のBが自分の班の壁新聞の場所に戻り、ACDが別の班の発表を聞きに行く。4回繰り返すと、全員1回は発表、3回は異なる発表を聞ける形です。
お陰様で、今年もまた、この時間も十分に目標を達成できたと思います。
振り返りが終わったら、7時間目の「OBOG講演会」の時間に向け、班を戻し、着席する向きを180度回転して、休み時間です。現在、壁一面が白板になっている方を見て普段授業を行っていますが、昔はそちらは教室後方の掲示板壁面でした。旧前方には教壇代わりのステージがあり、外部の講師の方にお座りいただくならそちらがいいのです。
すでに、となりの準備室には卒業した先輩方が来ております。
丸1日大変でしたでしょうが、生徒には最後の名物時間も楽しんでほしいと思います。
4月23日(火) 1年生スプリングセミナー! その2
4月23日(火) 1年生スプリングセミナー! その2
「4時間目:入学前課題の相互プレゼンテーション」
これは実は初の試みです。これまで、入学前課題は、授業中に少し触れたらそのまま各自の探究材料集「ネタ帳」に収めてきました。
今年はこの特別感あるセミナーの1コマを使って、「要約」「発信」の体験をしてもらいました。
肝心の「課題」の内容を簡単に紹介します。
・A3版両面1枚の宿題で
・条件は「最低3つ」「できれば8つ」、「私が気になること」を書いてきなさい。
・1つ目は「社会的ニュース」から
・2つ目は、1つ目と違う「社会的ニュース」から
・3つ目は、自由な分野から
・それぞれ、元ネタに応じて、記録をとり、コメントもする
宿題も、主任としてお借りしてやり具合を見せていただきいましたが、物凄くしっかりやってありました!
この時間から、班活動です。
まず、テキストの「発表の仕方」部分を簡単に読み合わせして、上手に発信するこつや聞くマナーを確認しました。
私も多少「吃音」気味ですが、そういった各自の特徴は、気にする必要はありません。今現在、生徒たちは芸能人等のごとく「発表」を仕事にしているわけではありませんから、言葉自体を閊えず滑らかにしゃべらねばならないということはありません。逆に、発表その物のクオリティを上げる方法はちゃんとあります。
高校生になったばかりですから、気にするべき点や見るべき点を間違えぬよう、しっかり確認。
本番に入ります。こちらでタイマーで時間管理をして、各班内で、各自が調べて書き込んできた「興味のあること」を1つないし2つ、プレゼンしてもらいます。発表3分、質疑応答5分。
様子を見た感想として、思いのほか活発にやってくれました!
次に、各班内で発表が「一番面白かった/上手だった」人を1人、代表として選んでもらいました。と言いましても、今回の様子を見ると、各班内で差がでないケースも多そう。その場合はじゃんけんで。
代表が決まったら、代表は前に出てもらって、今度は班内ではなくクラス全体へ発表をしてもらいました。全体へは、あらかじめ、「全10班代表10人の発表を聞いたら、その中で最も面白くて記憶に残った発表3つについて、ノートに書いてもらいます。または代表以外で各班内でとても気になる発表があった場合、それを含めても構いません。」
なんと、撮影は係の先生にお願いしてありましたが、代表1名撮影漏れが…ごめんなさい!
かくして、10人が発表をしていきましたが、上手な事!内容もそれぞれ独自で、またそれについての各自の考えも独自で、大変によい時間となりました!
以下に紹介するのは、ブログ用に、担任/副担任の先生たちに書き込み具合がよいノート冊子を選んでいただいて、私の手元にきた11冊…に載っていた記録の、上位3件です。
1位:【今までの地震、これからの地震】
プレートのずれによる以外の原因もあるのではないか。
人工で起こされた可能性はないか。ならば止められるかも。
★聞いた側の感想
・1つの題から、また1つの課題に話がいく展開が凄いと思った…等
2位:【地球温暖化】
温暖化の原因や、温室効果ガスの働きについて、初めて知った。
学校の授業で取り扱うべき。
1人1人が意識するべき。
★聞いた側の感想
・もっともっと、私達個人個人が地球温暖化について考えないといけないなと思いました。具体的に考えることを普段しないのは自然と遠い存在だと思い込んでいるからだと思います。もっと当事者意識を持っていきたいです…等。
3位:同率で4件
【LGBTQについて】
【夢のような感覚/個】
【市川猿之助氏の件】
【キューターアグレッシブについて】
これで昼休みです。新入生の皆さん、前半お疲れ様でした!
4月23日(火)1年生スプリングセミナー! その1
4月23日(火)1年生スプリングセミナー! その1 1時間目~3時間目
…を利用して人文科教育活動を紹介!
今年のセミナーは、金曜実施ではなく火曜実施にして、1コマ増やしました(火曜日は7時間)。
1時間目:はじめに/人文科探究導入①
2時間目:人文科探究導入②
3時間目:人文科探究導入③
4時間目:入学前課題「私の気になること」ネタの相互プレゼン
5時間目:SDGs壁新聞作り
6時間目:SDGs壁新聞発表
7時間目:人文科卒業生講話
今年は例年より1コマ増やしたことで、人文科探究の導入部分により力を入れられました。
また、普段、広報の場面で使っている「人文科紹介ブックレット」の内容を、「記入用のセミナーノート冊子と資料冊子」に仕立て直して、教材として使いました。またこのタイミングで、2年間の人文科探究のテキストとなる「学びの技」改訂版 玉川大学出版部…も配布して、導入として読み合わせもしました。
★★中学生や保護者の皆様へ
毎年のこのスプリングセミナー実施内容は、ブログにて春日部東高校人文科の教育活動の土台部分をかなり広く紹介するのにうってつけなのです。今回は物凄い字数になりますが、ブログは逃げませんので、ご興味ご関心に応じ、「スキミング」や「スキャニング」しながら「ブラウジング」してみてください、サブタイトルは太字にしてあります。
スキミング:ななめ読みでざっと
スキャニング:キーワードを拾い読み
ブラウジング:ざっと読むこと
また、皆さまの興味関心の対象があれば、ピンポイントで探せるように、本ブログの「目次」も作ります。
1.はじめに
❶校長講話
❷学年主任講話
❸この時間に得られたもの
2.人文科探究導入①
1.人文科の「人文」とは何か?
2.「人文科学」とは何か?
3.科学を3分野に分ける場合
4.科学を2分野に分ける場合
5.春日部東高校人文科はどんな学科?(4つの特徴)
特長❶ カリキュラムが「文系」に特化
特長❷ 独自の行事がある
特長❸ 独自の教育環境がある
特長❹.学校設定科「人文科探究」がある
❹-1.「探究学習」とはなにか
❹-2.なぜ今「探究」を学習するのか
❹-3.探究に必要なこと(道しるべ)
❹-3-1.道しるべ①「メディアリテラシー」
❹-3-2.道しるべ② 「多角的視点」
❹-4.SDGsの視点について
3.人文科導入② テキスト読み合わせ
4.人文科導入③ プチ探究
1.はじめに
セミナーが現在のスタイルになる前からずっと変わらず、まず始めに校長先生と学年主任の先生に、お話をいただいております。
例年、お話をいただく前に、「話を聞く態度」つくりもしております。「偉い人から話を聞く時はちゃんとして」ということではなく、事実として話を聞く際の「体勢」などが話者にどういった印象を与えるかを、実演も入れて示しました。皆、意図を酌んでくれたのか、とてもいい雰囲気でお二方のお話を聞けました。
このところ、教育の現場もIT化が急速に進んでおり、この流れはもう止めるべきでも、止められもしません。ただ、急すぎて、まだまだ発達段階にある生徒たちの、脳の発達にも影響が大きいと思われる各種アナログ能力の大切な鍛錬機会を減らしかねません。今回初の試みですが、「講話を聴き終わったら、短時間設けるので、聞いて覚えている内容を(アナログで)記述してもらいますよ」と含んでおきました。長時間の講演ではありませんので、途中でメモは取らせられません。脳を鍛えてもらいましょう!
かくして講話が始まり、お二方から有意義かつ面白いお話をいただけました。共通の話題は、この人文科出身のマラソン選手川内優輝さんがかつてお二方とそれぞれ異なる場所で一緒に働いていた、というものでしたが、ちゃんと本題で大切なお話につながりました。
❶校長講話
内容…生徒メモより
・人文科でしか経験できないことを大切に/セミナーを通して多くの事を学んでほしい
・文武両道は大変だけどいずれ自分の助けになる
・体は大事、睡眠大切、健康でいれば意欲的に勉強や部活に取り組め、文武両道へつながる
・東校人文科出身、マラソンの川内優輝選手は、かつて同じ職場にいたが、練習と仕事の切り替えがすごかった、つまり文武両道が息づいていた、継続にもつながる
・先週の交流会はとてもいい雰囲気だった、楽しく過ごしてほしい
❷学年主任講話
内容…生徒メモより
・勉強も大切だが、経験を積むことも大きな力になる、人文科にはたくさんのイベントがあり(含海外経験等)、経験して得られるものがたくさんある
・自分の意見、考えを大切にする
・自分の好きなことを追ってもよい
・良いクラスにするのは私達次第、高校3年間同じクラス、お互い認め合い、仲間を大切にすれば、最高のクラスができる
・学校や家族は、安全で王道な道を勧めるもの、しかし縛られる必要はない、否定はしない、自分が明確にやりたい職業や挑戦したいことがあったら、全く別の道に行くのもいい、マラソンしかり演劇しかり、百人いれば百通りの人生、やりたいことをやってほしい
・人生、何があるか分からない、何かあったら担任等に相談を
❸この時間に得られたもの
内容…生徒メモより
・自分のしたいことをよく考え、最後まで突き進むことが大切
・やりたいことをすることの重要性、一般的な道だけに囚われず、他の世界も見て自分の将来を定めたい、何事にも全力で挑むこと、行きたいと思う進路につくために今できることを頑張りたい
・私達次第でクラスの雰囲気や未来がかわる、3年間同じクラスだからこそ絆を深める、常に相手の立場になって考える
・睡眠は大切、人を頼ること、周りと協力していくことも大切
・校訓である文武両道は社会に出ても役立つ、今できると将来とてもいい人材になれるかも
・勉強も大切だが経験も大切、人文科でしかできない経験を大切にし、経験値を積みたい
2.人文科探究導入①
人文科生として、用意されている学習環境等をしっかり理解して過ごし始めてほしい、という思いから、学校説明会等の募集段階で使用しております人文科の紹介資料をワークシート形式にして、生徒達には「解答」をメモしてもらいながら理解を促しました。これ以降しばらく「桃色字」が、シートでは空欄で生徒が記入した箇所です。
1.人文科の「人文」とは何か? → 「人文科学」という用語から
2.「人文科学」とは何か? → 「人間の文化に関する学問」の総称
3.科学を3分野に分ける場合、次の3つに分けられます。
①「自然科学」:自然現象を対象とする
②「社会科学」:人間社会の現象を解明する
③「人文科学」:人間の文化に関する学問、例)「哲学、歴史、文学、言語」など
4.科学を2分野に分ける場合は、
自然科学≒「理系」
人文科学≒「文系」
5.春日部東高校人文科はどんな学科?
特長❶「人文」だけに「文系」科目が多い
特長❷ 独自の「行事」がある
特長❸ 独自の「学習環境」がある
特長❹ 学校設定科「人文科探究」がある
5番の春日部東高校人文科の特徴より、とりあえず手にした学習環境を理解してもらいましょう…
特長❶ カリキュラムが「文系」に特化
※卒業後の進路は「私立大学文系学部」がほとんど
● 文系科目(国語・英語・地歴公民)に重点を置いた教育課程
● 私大文系(文・法・経済・商・教育・外国語・心理などの学部)進路実現をサポート
● 教育課程の範囲内で国公立大学受験にも対応
● どこの学校でも毎年6月に「三者面談」がある理由:特殊な書籍「教科書」の出版事情と、「翌年どの学校に何の教科の教員が何人必要か」の計算を県などが間に合わせる必要から
● 1年生が入学して2か月で次年度の進路を文系にするか理系にするか決めるのは大変なこと
● 人文科は単独クラスの「学科」であり、入学時点で進む先が「文系」でほぼ決定 → 6月の悩みは普通科の半分
● 理系進学は正直困難
● 国公立は既存の学習環境をフル活用して人文科からも例年数人が進学している
● 進路を分野だけでも「文系」とさだめられるならば、非常に恵まれたカリキュラム
…しかし、漫然と座して、受け身でいても、なにも達成できない!
達成のために、
※ 凡事徹底=ここでは「授業を大切に」「教材持ち帰り」「段取り」「出席する」「真摯に」
※ 進路指導部が調整する「進学補習」を効果的に利用すること
※ 選択科目のよりよい選択のために、早くから受験を意識すること
※「この科目をみてもらうならこの先生」という先生を見つけておくこと
※ 地歴公民のどの科目を受験で使うか、早めに意識し始めること
※ 古文・漢文をなめないこと
※ 情報をしっかり受けること
※ 理系科目をなめないこと(不要な科目などない!それに英語の長文は今、話題の分野が極めて広いし!)
特長❷ 独自の行事がある(画像は是非、過去/未来のブログでご確認を!↓)
授業では、このコーナーは、以下の情報は興味次第で見てもらうことにし、最低限だけ触れて先へ進めました。
凡例:★は火曜7限人文科探究授業内で実施
☆は通常授業をもらって実施
✪は校外実施
●は放課後に実施
★☆人文科交流会 【1・2・3年生】【4月】【L.L.教室(次年度は学食?)】
…人文科内で先輩後輩の交流会
…3年生は火曜7限の通常授業をもらってこちらに参加
☆スプリングセミナー 【1年生】【4月】【L.L.教室】
…火曜日丸1日7コマ、校内での「探究」ガイダンス等
…卒業生(大学2年生)との懇談会(7時間目)
☆キャリアガイダンス 【3年生】【6月】【L.L.教室】※火曜7限
…人文科卒業生(大学1年生)との懇談会など
★(☆)ポスター発表 【2・1年生】【6月】【3階?食堂?】
…2年生の研究結果の発表を1年生も一緒に聞く
…年度により、6限ももらって2コマでやる場合もあった
✪サマースクール 【1年生】【8月】【東京青海 東京グローバルゲートウェイ】
…語学体験施設で、各班に1名外国人講師がつき、終日語学研修
✪オーストラリア海外研修
【希望者】【申込1年10月、渡航2年7月下旬or8月上旬】
【コロナ禍以降、行き先や訪問校等は毎回検討 → 毎年必ず同じというわけではない】
(R2/2020、R3/2021、R4/2022年度中止、R5/2023は国内成田)
…2024年度開催分については、10日間、シドニー、シャイヤークリスチャンスクール、シドニー大学
…ホームステイだが、オーストラリアはホームステイが飽和状態で、R6年度の1家庭1名は難しそう、R6年度実施分の入札勝者はJTB、予定30万円+α
✪人文科講演会
【1・2・3年生】【9月文化祭片付け日456限】
【春日部中央公民館…は改修工事が入るとのことで、未定】
…各界の著名人をお招きしての講演会(このところ国境なき医師団)
…特別編成授業をお願いするので、何かの授業をもらうわけではない
●人文科フェア 【ボランティアor指名された人】【秋、第3回学校説明会日】【3階】
…3階を広く使って、お客様に人文科の行事や探究を紹介、ポスター発表実演、
…中学生との交流会あり、その間保護者は主任から詳細説明あり
☆エンパワーメントプログラム 【1、2年生】【2月上旬】【L.L.】
…外国人の外部講師が大勢来校し、班ごとに終日英語で活動します。
…2月上旬の金曜日が理想、昨年度/今年度は1月下旬実施済/予定)
…特別編成授業をお願いする予定ですので、そうなれば何かの授業をもらうわけではない形になります。
特長❸ 独自の教育環境がある
生徒は、手にした環境を「分かって」毎日を過ごした方が、教育効果が上がると思います。授業では、それぞれの捉え方等をコメントしました。
●3階は「人文科フロアー」
・同じ階に常に先輩後輩がいる!
●入学から卒業までクラス替えなし
・各学年に1クラスしかなく、やりようがないので、メリットを利用して過ごすべし
・合う相手も合わない相手も、互いの性格や付き合い方が分かれば、人間関係トラブル減らせるか
・普通科がクラス替え後の様々な調整をしている時間に、人文科では別の事や先のことをやれる
・「受験は団体戦」、落ちついた集団作りを心がけよう
●少人数授業
・人文科だけが英語・数学・国語で少人数制の授業を実施
・選択科目は、同じ時間にクラスが2科目~3科目に分かれ、自動的にかなりの少人数に
●3年生選択科目の充実
・何を受講しようか迷う余地の少ない、受験対策向けラインナップ
● 独自の授業…学校設定科目「人文科探究」
・これがあるゆえの学科「人文科」、人文科教育目標を達成するための主たる柱
※ 本校人文科はかつて「特進クラス」
・経緯があり、現在は「特進」ではない(すでに6年ほど経つ)
・特進であったころの学習環境がほぼそのまま残存、大変に恵まれている状況
・結果として例年普通科に負けない進学実績
…しかし、漫然と座して受け身でいても、なにも達成できない!
※ 同じフロアですれ違う先輩にも挨拶を!
※ もう高校生、人の気持ちを考えた言動で、よい集団を作りましょう!
※ せっかくの少人数制、質問をたくさんすべし(そのためにも予習・復習)
※ 人文科「あさべん」R4までで廃止…すきま時間の活用を各自考えて!
特長❹.学校設定科「人文科探究」がある
いよいよ、本日の本題に突入です!
まず初めに、「探究」とはなにか。
「物事の真相・価値・在り方などを深く考えて、筋道をたどって明らかにすること」
…では、
❹-1.「探究学習」とはなにか
…次の3つの力を育成する学習のことである
① 「問題を発見」する能力
・ただなんとなく不振/不思議に思うのでななく、疑問を言葉に直す
② その問題の解決に必要な「情報」を、「収集・分析・活用」する能力
・様々な形の情報の集め方、要不要等を判断する力、持論の展開に情報を活かす力
③ 「論理的」思考や「創造的」思考をもって問題にあたる能力
・でたらめに考えてもうまくない、かつ先人と同じ思考では残存問題は解決できない
❹-2.なぜ今「探究」を学習するのか
★「職業」は誕生したり消滅したりするもの
・本来、人類一人一人が狩りから採集から子育てから、単独で何でもかんでもやるのは大変。アメリカの西部開拓時代では、入植者の家庭では農業も狩りも、自宅建設・修理も、自宅がらみのインフラ整備も、そのための道具の維持管理や作成も、自衛のための武装も戦いも、子どもの教育も、まさに「それは自分のやることではない」という項目が各自にとってほとんどない、というような状況もあったようですが、まさかそのまま時代は進みませんよね。太古の始めは恐らく男女間、そしてだんだんと同じ地域社会の中で分業化が進み、「周辺の人々に求められ役に立つ自分独自の活動」が様々な「仕事」になったはずです。
・「仕事」とは、社会に生きる人々の役に立つもののはずで、かつ自分にとっても社会の中に自分の居場所を確保してくれるもののはず
・それが、ある段階から、「仕事で生み出したもの」が仲間の仕事を奪うケースが出てくる…
→ すでに、「機械」や「ロボット」により仕事はたくさん消滅済
→ 今後、「人工知能(AI)」がさらに多くの仕事を滅ぼす(なんてあべこべな!)
→「知識」を「持っているだけ」の人材は不要
・辞書があれば言葉の物知りは不要、 → スマホがあればもはやほとんどいらない
→ 今後を生きていくには、AIではとうてい及ばない「力」が欲しい
AIではとうてい及ばぬ力 =「探究」力が欲しい!
❹-3.探究に必要なこと(道しるべ)
ほんの数十年前と全く異なり、今はそれこそスマホ1台から、無限ともいえる情報を(制限をかけていなければ)無制限に得ることができます。しかし、その中には「得たことが害になる」ような情報も溢れています。
無限にあふれる
「常識情報」「不要情報」「ゴミ情報」「危険情報」から、
「探究学習」に役立つ情報、つまり
=「自分の興味にかなう情報」
=「自分の主張を支えてくれる情報」
…を探して活用するには、道しるべがほしい!
❹-3-1.道しるべ①「メディアリテラシー」
英語にも力を入れている学科ですし、私も英語教員ですし、ここでちょっと用語の勉強・英語の勉強…
メディアmedia(仲介)マスメディア、マスコミ(マスmass塊、大量の~)
リテラシーliteracy読み書き能力
★派生語 literal文字通りの literally文字通り
literary文学の literarily文学的には literature文学
…で、メディアリテラシーとは、
・メディアの「特性を理解」して使いこなす複合的な能力
・情報がもたらす「影響」を「予測」する能力
・双方向コミュニケーショントラブルを処理・「回避」する能力
これは大切な話ですので、探究学習の初期に念頭に置いてもらうべく、いくつかの身近な場面で例を挙げました。
★例えばこんな場面で、今のみんなはどう受け止める…?
⦿この冊子の「後輩へメッセージ」ページに記載されていること
例年セミナーの資料冊子に含めております、前年度末に1、2、3年生に後続にあてて書いてもらった「やっておけばよかった」「やっておいてよかった」カードの集計結果です。分野は、
1.学習面「隙間時間活用」「暗記物」「模試や定期考査の振り返り」「各教科の具体的な取り組み方」
2.人文科探究について「テーマ設定」「ポスター発表」
3.部活について
…です。こうした資料の受け止め方ですが、「学校で配られる資料に載っているからといって、生徒全員にとって等しく正しい」とは限らない、という事実についてコメントしました。
先輩全員が何の問題もないわけではない。非常によくやっている者も、取り組みが足りないものもいる。コメントは等しく載っているが、参考にすべき意見や、自分には合わない意見、そのまま受け止めるべきではないかもしれない意見もあるかもしれない…旨。
⦿進路だより
春日部東では、各学年進路指導部が多大なる労力をかけて、ハイペースで「進路だより」を発行しております。毎回毎回のたよりの内容を全て読み込んで理解して進路選択活動をするならば、極めて合理的に、余計な回り道やトラブルなく、各自の目指す進路を実現するのに大きな補助となるアイテムです。しかしこれも、「活用」しなければ、何にもなりません。えてして一見小難しく思えるこういったメディアは、放置してもなかなかこちらが思うように活用されません。発行する側にも工夫が求められます。
活用すべき情報を活用する旨、これもメディアリテラシーです。
⦿模試の結果表
模試の業者から学校/生徒個人のもとへ届く、模試の出来具合と各種分析結果、そして判定。模試を受ける際には、生徒は各種判定をしてほしい大学名を一定数記入できます。いつかそれらの大学を受験するとして、今回の模試で今回の点数を取った者はどのくらい挙げた各大学に受かりやすいか、アルファベットで判定が出ますが、この判定をあまり気にする必要が無い旨。A判定なら必ず受かるのか、E判定なら絶望的なのか、否!裏事情は…長くなりますので、この場では割愛しますが、授業では解説しました。とにかく、実際に不必要に踊らされることのない情報も、こうした極めてきちんとしたメディアにも記載されうる旨。
⦿進路情報誌の「専門学校」の情報
模試と似たようなカテゴリーです。学校にある、あるいは各教室に置かれているかもしれない、各種進路情報誌。それらには当然、専門学校の情報も記載されています。ここで問題なのは、「専門学校」という進路には、いろいろと難しい判断が付きまとうという事。正直、推薦すべき学校もあれば、そうでもない学校というのも存在します。では、それらがなぜ進路情報誌に載っているのか。生徒はどのように自分に必要かつ希望通りのものを得られる学校を選べばいいのか。各種情報誌に記載されている情報の正しさや価値は、一律ではない旨。
…という具合に、メディアリテラシーを必要とする場面は、スマホなどを開けずとも、日常的に身の回りにありふれているわけです。ここまでの話でそれに気が付いてもらったら、次に、探究の場面にも関連付けて、春休み中にみつけた「新聞記事」からのメディアリテラシーネタです。
⦿新聞記事やニュース
とりあえず、現代の日本の大手新聞ならば、「嘘」は書かないでしょう。しかし、ごく一般的に考えて、「真実」を「真実のまま」書くのは難しいでしょう。ただでさえ物事の100%を表に出すことは不可能なはずですし、その上、大手新聞各社が同じ事件を紹介する記事はそれぞれ社の色が出て、事件のどの部分をどんなふうにどのくらいの文量で書くかに違いがあります。5時間目の「壁新聞作り」の時に、実際に感じて欲しいですね。
言葉通りの「疑え」というほどきつく言うつもりはありませんが、メディアには、中立に事実だけ記載されていると勝手に思い込んでも、その事実の調査方法によって印象はガラッと変わるかもしれない旨、また多少の意図が添加されている可能性を常に意識するべき旨。
⦿SNSの学校裏サイト
実物をあけて示したわけではありませんが、これは始めから「悪意」が見え隠れするタイプのメディアの例として挙げました。誰かが何かを痛烈に批判するような場面を第三者的に見ることを、喜ぶ人々がいます。ましてやそこに批判を正当化する理由などがまことしやかに添えられていようものなら、メディアリテラシーをもってして反応する人よりも、鵜呑みにして騒ぎ立てる人の方が多いのかもしれません。炎上という状況ですね。
1つ1つの事象について、関係者全方位に潜在的に同等と言える状態で状況を調査/理解できる人は、まずいないでしょう。それでも私たちはある程度の材料をもってして同じ人間とコミュニケーションをとっていかねばなりません。その際に、何かに対して、根拠も薄い状態で、ポジティブならまだしもネガティブな印象付けをするような行為は、悪意と表現してもよいと思います。
明らかに何かに批判的な情報源は、誰が、どんな目的で、それに触れた者をどのように導きたいのか、またそれらに触れてしまったことで自分や、自分から新たに他者へ、どのような影響があるのか、考えるべき旨。
❹-3-2.道しるべ② 「多角的視点」
・現存する問題は、先人と同じ視点では解決できない
・「高いと思った壁が、横から見たら薄かった」
本音は毎日のように鍛えたい力ですが、与えられた貴重な場面を使って意識付けを試みます…あとは探究活動の中で鍛えられることを願います。
問い1:川のこちら側のA地点から、対岸のB地点まで、最短距離で橋をかけよ(ノート冊子では図アリ)。
ただし、橋は1本で、川に対して直角でなければならず、途中で折れ曲がってはならない。
問い2:マッチ棒6本で、正三角形を4面作りなさい。ただしマッチ棒は折っても重ねてもいけない。
問い3.マッチ棒7本を、互いに1回以上触れ合うようにするには、どう組めばいいか。
マッチ棒4本で「田の字」を作れ。ただしマッチ棒は折ってはいけない。
1番は、川に対する橋のイメージに囚われていると解けません。2番は、条件付けの中で唯一触れていない大きな分野に気が付けるか。(マッチ棒を縦に割くのは、そういう発想も好きですが、ここでは「折るな」の応用として不可です。)授業中では、問い3は敢えて扱いませんでした。気にして、楽しんでもらえたら…。
❹-4.SDGsの視点について
「道しるべ」ではありませんが、気にして欲しいこととして、同じ黄色のマーカーにしました。春日部東高校人文科では、令和元年度から人文科探究に「SDGsの視点」を入れようとしてきました。
皆様ご存じの通り、人間が我が物顔で好き勝手してきたこの世界は、産業革命以降、「人としての文化」の破綻に留まらず、地球の環境自体を人間どころか生物全体の存続を脅かすレベルで破壊し変化させてしまいました。もはや「人類の文明の存続」が危ぶまれるところにまできています。
SDGsは、珍しく、世界が巨大な問題を前に「前向きに結束した」、地球規模の問題解決に向けた希望の星でした。ところが、コロナ禍にて世界は皮肉なことに「経済」の重要さを嫌というほど見せつけられることになります。結局、人は自分の生活に余裕がない状態では、それが破滅に向かう状態でも、現状を変えることはできないようです。
令和6年度、暑い方向での観測史上最高記録は更新を続け、いよいよ温暖化もあからさまにまずい局面に入ってきたように思います。授業中には、北極やグリーンランドの惨状と、中国の河川や大気汚染の様子をインターネットから見つくろって共有しました。他に、プラスチックや「核」の話題も用意してありましたが、時間の関係で保留しました。
探究のテーマは、何でもよいのです。各自がたまたま考えた対象が、SDGsと関連がないように思えても、ここは本人がまっすぐ探究活動をやれることを優先したいです。ただ、もしも40人の中から、環境問題に限りませんが、SDGsに直接関係のあるテーマを立てる人が出てきたら、それは嬉しいことです。
3.人文科導入② テキスト読み合わせ
私たちのこのテキストの使い道は、毎回の授業時に1ページずつめくるというイメージではなく、活動の段階ごとに参考にして欲しいものなのです。もちろん実際に開いてもらうシーンもたくさんありますが、できれば各自で降りに触れめくってみては「ほう」「へえ」となって欲しい。そのためには、「ブラウジング」して慣れておく、かつ記憶に軽くとどめておくのがいいでしょう。
今回は、次週に図書室の司書の先生から学べる「資料の探し方」以外の導入部分を「ブラウジング」しました。「これから、こういう場面があるはずだけど、その時はほら、このテキストのここに、こういう参考情報が載っているよ」という感じで、全体の1/4ないしは1/3ほど、めくっていきました。
4.人文科導入③ プチ探究
さあ、探究活動の下地は一通り紹介しました。このタイミングで、せっかくですので、本校人文科で採用している論展開の推奨パターンを体験してもらいたいと思います。
ちょっと雰囲気を難しくしてしまいかねませんし、アップという感じで先に「画像」から探究めいた思考を体験してもらいました。
画像は、とある昆虫の写真ですが、悩んだ結果選んだものです。案の定、知っている人はいなそうです(いたら黙っていてください、と全体にお願いしました)。この画像を見て、疑問を進めてみます。たどって欲しい思考ステップは、
「これは何だ?」
→「生き物か?」
→「虫か?」
→「昆虫か?」
→「何の虫か?もしかしてクワガタか?」
…ここまでくれば、だいぶ調べようがあります。実際に調べるならば、たとえば図書室で、昆虫図鑑を見つけて、めくってみます。でも、日本の昆虫の図鑑には載っていません。
「もしかして外国の虫?」
外国の昆虫が載っている図鑑を見つけられれば、だいぶ答えに近づきます。実際に同じものが載っていたとしましょう。「パプアキンイロクワガタ」か!
しかし、これでは「探究」ではありません。単なる調べ学習ですし、途中の思考を全て文面にしても、大した文量にはなりません。ここに、疑問点のグレードを上げる必要が出てきます。
「自分がなんとなく知っているクワガタ、日本のクワガタと、姿が大分違う」
→「なぜ日本のは黒または赤茶色ばっかり?なぜコレは緑金色?」
→「日本のクワガタのオスは、頭がでかいけど、なぜコレは小さい?この頭で牙(おおあご)を閉じても、力が入らないのでは?なぜコレの牙は上方に反り返っているのか?」
…例えばこのような疑問を抱いて、自分なりの答えを考えてみて、それが正しいかを調べる…そこまですれば、だいぶ探究めいてきます。
実際にはこの昆虫に関しては、先人たちが「探究」した結果、色々なことが分かってきました。反り返った牙の使い道ですが、パプアキンイロクワガタは、木の幹にとまって樹液をなめる日本のクワガタと違って、飛んできて草の茎先に上向きにとまって、茎を牙で挟んでプチっと切り捨てて、切り口から滲む汁を吸って生きているのです。そうするとこの牙の形も、力学的に理にかなった形に思えます。
次に、やっと本校人文科で採用している論展開の型の体験タイムです。
「人文科探究論文の展開」
★自分で感じた疑問「課題」
★自分で考えた答え「仮説」
★仮説が正しいと証明する行為「論証」
★論証は、「引用」参考文献から情報を借りてきて、自分の持論を支える
★論証は最低2つ、できれば3つ(簡単に折られぬよう)
★3つの論証は、独自の3つの切り口「視点」から
ここで、私が中学校出前授業や、人文科探究授業の中でよく例として使う「幽霊」で展開をなぞってみます。
★幽霊は実在するのだろうか
★幽霊は実在しない
★幽霊の定義
★実在の定義(3視点として、ここから「実在」を崩す)
・生物/物体であること
・物理/化学現象であること
・記録/観測ができること
★論証1…幽霊の見た目の特徴や出現条件が、人のネガティブな感情に訴えるものばかり、逆に生物や物体としての条件を満たさない → 生物/物体とはいえない
★論証2…幽霊の様々な動きが、人のネガティブな感情に訴えるものばかり、逆に物理/化学現象としての条件を満たさない → 物理/化学現象でもない
★論証3…幽霊は、記録も目撃も人により、また機器により、一定でない → (論証1,2を同時に支えつつ)幽霊は生物でも物体でも物理/化学現象でもない
…授業では、ステップごとに生徒に思うところを聞きましたが、肝心の私が少々ヨタってしまって、この時間の自己評価は低めでした。この部分は数回後の授業でまたチャンスがありますので、リベンジしたいと思います。
この日、3時間目までは、このような感じで過ごしました。まさに探究活動前半1年間の流れを凝縮したような時間になりました。
次回のブログから、内容もひとまとめごとで、通常の形式に戻します。
★スプリングセミナー!その2 入学前課題の相互プレゼン
★スプリングセミナー!その3 SDGs壁新聞作り
★スプリングセミナー!その4 OGOBのお話
よろしければ、ご覧ください。