5月2日(月) 1年生「SDGs関連」 2年生「個別指導担当へ挨拶」
5月2日(月) 1年生「SDGs関連」 2年生「個別指導担当へ挨拶」
1年生「SDGs関係(地球カレンダー)」
SDGsにつきましては、数年前に「視点を取り入れる」という表現で学習機会を設け始めました。生徒にとりまし8て、探究論文作成に向けたテーマの設定時にあまりSDGsにこだわりすぎますと、自由な発想が制限される恐れがあります。人文科としまして、まずは単純に「疑問→仮説→論証→結論」の流れを自ら設定すること、それについて手順を踏んで研究し論文にすること、この流れをスムーズに体験することを優先しまして、実情は「後付けで」自分の研究はSDGs17項目のどれに貢献できるか考える…くらいの強さでやっております。
一方、SDGsそのものは、悲しいかな「エコ~」と同様、商標化してしまっているような場面も見受けますが、現在の地球に生きる人類として、あらゆる場面で考えてゆくべきことのはずです。この世界の傷み具合は、学校の全科目で前面に押し出して扱ってもおかしくないレベルと言えます。できれば探究授業年間計画に定期的に入れたいくらいの内容ですが、実際の計画では(当然でもありますが)論文作成に向けた流れを最優先としています。今日は、年間数回の貴重なチャンスの1回です。
SDGsは国連の考える「持続可能な開発目標」ということで、その17項目は人間の開発分野全般にわたりますが、そのうちの半数近くが「環境問題」にかかわる分野です。
たまたま、主任の私は三十数年前(ここ春日部東に「人文科」ができるずっと前)、この母校で2年生の頃に、とあるきっかけから環境問題に興味を持ちました。その後、大学は学部こそ英語ですがゼミは「英語で自然について考える」ゼミをとり、環境問題への関心を深めました。就職活動で教員を目指したのも「生徒たちに環境について伝えたい」と考えたからでした。そのあたりはカミングアウト的な話がまだあるのですが、ここでは割愛します。
さて環境問題と一口に言ってしまうと分野が大きすぎて、まとめる際の立ち位置もしっかりせねばなりませんが、今回は、はっきり環境問題に特化して話す初回、と考えますと、私としましては「問題」以前の「本来」をまず知ってほしい、普段何気ない瞬間に本来の環境そのものの「偉大さ」「存在自体の奇跡さ加減」「脆弱さ」に思いを馳せてほしいと考えます。
「地球は、太陽系の中で、どのように惑星になったのか」
「地球の地殻は、大気は、海は、いつ頃どうできたのか」
「最初の生命の誕生する条件はいつ頃どう整ったのか」
「酸素は何者がどう生み出してくれたのか」
「オゾン層はいつ頃どういう経緯でできたのか」
「私達生物はどういう経緯で進化し今こうしているのか」
・・・つまりは我々が今現在、生命としてこの惑星に存在できる根本的な条件は、何のお陰でどのように整ったのか。そして私たちはどこから来たのか。こういった、ある意味「環境の下地に関する一般常識」とも呼べる知識を、まずしっかり確認したいと思いました。
そこで、このために昨年「地球カレンダー」をワークシート化しました。ご興味のある方は是非検索してみてください。「地球カレンダー」とは、地球の誕生から現在までの歴史・・・46億年と言われていますが、この46億年の間に起こった出来事を、1年間365日のカレンダーに換算して当てはめると、何月何日にそれが起こったか分かる。つまり長すぎて見当もつかない46億年そのままで理解するのではなく、長さの見当がつく12か月365日に直して、出来事の間隔やタイミングを把握できる、そういうカレンダーです。
むかし、A3判の紙2枚に365日を入れ込んだプリントは作ったことがありました。昨年、これをA4判1枚に1か月、全部で12枚、プラス12月31日のみを24時間に直したら何時何分に何があったのかで1枚、計13ページ(両面印刷で枚数は半分)のワークシート束に仕立てました。カレンダー内のおもな出来事は、全消しか空欄を設けました。元旦から順番に、途方もない出来事については想像しやすいようにプロジェクターで例の画像を示しながら説明していく、という授業です。昨年わりとうまくいきましたので、今回は少しだけ画像を選びなおしました。
ご想像通り、11月から急に出来事が増えますが、6月まででも重要な出来事はあるにはあります。設けた空欄を全て埋めてもらいながら時間内に全て話せるか、予め「今日は無謀なことをするぞ!」等と言って、時計を見ながら必死で、でもなるべく分かりやすく面白くトークしました!結果としましては今回はギリギリ時間内?なんとか伝わりましたでしょうか。
1月12日(44.5億年くらい前)。地球に小天体が激突して「月が分離」したあたり。
大まじめです、太陽系が生まれるあたりから話し始めましたので。
1月16日(44億年くらい前)。「地殻」の形成の話…の前に、地球の構造と地殻ってなんだ?の話。プレートやら日本列島の地震やら。
私は授業をやっていますので、カメラマンは1年9組副担任のM教諭にお願いしてあります。2年生の様子も撮影をお願いしてありますので、画像は飛び飛びです。
5月31日(27億年くらい前)。シアノバクテリア(藍藻)が、この惑星に初めて「酸素」を放出し始めました。ストロマトライトといって、この藻類が集まって固まったものが化石になって見つかっております。たまに石屋さんで磨いた石玉が打っています。画像は、なんとその頃の様子を現代に伝えていると名高いオーストラリアのハメリンプールという浜の写真です。黒い岩は岩ではなくストロマトライトそのもので、表面の生きた藍藻が陽光を浴びると光合成にて酸素を泡にして放出する様が見られます(現地で生で見たことはありませんが、以前、科学番組で動画で見ました)。
似たような現象で良ければ、よく観察すれば身の回りでも見かけられます。
8月3日(19億年くらい前)。超大陸ヌーナ形成の話ですね。超大陸と言えば「パンゲア」や「ゴンドワナ」が有名でしょうか?ヌーナは地球で最初の超大陸です。地球全体のプレートの動きによって、地球では過去に何度も超大陸が形成されては分裂し、ということを繰り返してきました。
科学の力も大したもので、現在の各大陸がこの時だいたいここにあった、ということすら分かるようですね。
私が授業をやっている写真はここまでです。
ここで、今回の授業に使用した「実例」を写真で紹介します。画像以外にいくつか鉢植えなど本物を見せました。私が生物部の顧問もやっておりますので、ストックからぱっと見つくろって、予め廊下に置いておきました。
まずは「藻類」の見本から。ストロマトライトの化石の磨いた石玉を自宅からもってきても、多分ピンとこないので、仲間は違いますが、多分「緑藻類」の実物です。生物室のとある水槽ではびこっていたので、ペットボトルに汲んできました。写真は時間が経ってから撮影しましたので、大分薄まってしまっていますが、授業で見せた時は濃く新鮮な緑茶にしか見えませんでした。大雑把ですが、地球の海を酸素で満たし、大気にまでふんだんに含ませてくれた種族です。リスペクト!
ここからは、少しストーリー付きで。
11月27日!海の中ではすでに魚類までが進化し繁栄していましたが、この日より2億年ほど前…もとい、2週間ちかく前の11月14日からオゾン層が形成されはじめ、UV対策など色々と準備が整い、27日にようやく植物が上陸に向けて動き出します。まずは浅い海や河口に藻類が、そして次に湿地帯にコケ植物がじわじわと上陸!といっても「湿った環境」までです。ちなみに、動物は一切まだです!
11月28日!植物が(はっきり)初上陸!
この、今より4億年ちょっと前…もとい、「大晦日の現在から1か月と3日前」に初めて上陸した頃と、ほとんど姿を変えずに現在まで生き残っている「生きた化石」が「マツバラン」の仲間です。
一応、広義にシダ植物と分類されていますが、これはかなり大雑把な分け方で、動物でいいますと魚から私達哺乳までまとめた「脊椎動物」と、「エビ」だの「貝」だのまで、ほとんどの動物をいっしょくたにしてしまうくらい適当な分け方です。
もうすでに授業では全然そこまで話していない「ブログネタレベル」になっていますが、ここだけ!古い植物の分類の入り口だけ!ちゃんとすると、
「古マツバラン門」
「ヒカゲノカズラ門」
「トクサ門」
…ツクシンボウは、あれはあの植物の本体でないことはご存じでしょうか。ツクシの本体は「スギナ」という植物で、一度生えると根絶が困難なスーパー雑草です。ツクシは「胞子を散布するための、被子植物でいうところの「花」にあたる器官です。ガーデニングなどやっていると本当にどうしようもない雑草ですが、言い換えれば、数億年もの間姿を変えずかつ大繁栄しているので、地球に活きる生物としては「大当たり」の生体デザインを誇る種族ですね。そのツクシ…もといスギナがいるグループがトクサ門です。写真はトクサの新芽です。
「ハナヤスリ門」
「シダ植物門」
etc…となっております。
このリストはだいたい歴史上も上陸ないし進化してきたグループ順です。トップバッターの「コケより進化しているけど、コケを超える中では一番原始的な植物」であるマツバランは、体の構造もかなり変。土中部分を掘り出しても、まともなシダのようにはっきり根と呼べそうなものはなく、ウネウネと茎らしき構造が這いまわっているだけなのです。
葉っぱもないし。11月28日の陸にはこんなヘンテコな草ばかりが繁茂し、12月3日に大森林が陸に発達するころの植物もまだほとんど「シダ植物門」まで。
現在の森や草原とは、ぱっと見の印象もまったく異なる事でしょう。
ツクシやトクサの化け物の大木が林立していたりとか、
想像するとロマン以外のなにものでもありませんね!
白亜紀あたりになると、裸子植物(種の胚がむき出しの、マツ、スギ、ソテツ、次の画像のイチョウ、etc)
がメインの大森林から、だんだん被子植物も増えてきて、草食の巨大恐竜が食べなれたサラダと違う風味のサラダが増えていきます。その後の氷河期をもって、現代にかけて生態系は被子植物と哺乳類が台頭していきます。
写真ありきのコーナーですので、これはここまで。
最後に、この授業のしめくくり部分の情報を記載します。
12月31日午後11時37分・・・現生人類ホモ・サピエンス登場
12月31日午後11時58分52秒・・・農耕牧畜開始(1万年前)
12月31日午後11時59分46秒・・・キリスト降誕
12月31日午後11時59分56秒・・・ルネッサンス
12月31日午後11時59分58秒・・・産業革命
12月31日午後11時59分59秒・・・20世紀が始まり終わる
…私達人類は今、地球の歴史上何度もあった寒冷化と温暖化の繰り返し…生物の歴史だけで考えてもかつて何度となくあった大絶滅…そのどれとも違う形で、「秒」で地球を暖め、最速で種の絶滅を進めて、自分たちも頼って生きている世界を破壊している、というわけです(白亜紀後期の恐竜大絶滅すら、1種類毎の減少開始から絶滅までの所要時間は、平均で1000年かかった、という説もあります)。
46億年かけて整ったものを、です!
生物として言えば39億年かけて、複数回の巨大隕石激突すら乗り越えて、白亜紀終焉とその後の氷河期から今に至る安定期だけで言っても1億年近くかけて整った生態系を、です!!
SDGs!待ったなしです!
本当は世界のすべての国と地域で一丸となって取り組むべきです。争っている場合ではないはず!
次回のSDGs関連授業では、かつてのアメリカ副大統領アル・ゴア氏による「不都合な真実」を使いたい(=DVD視聴)と考えています!ただ、長いので昨年はいろいろ工夫して3回くらいに分けて見せました。(どうしよう)
2年生 人文科探究個別指導担当者にご挨拶
毎年、人文科の2年生全員を、担任あるいは人文科の教員(主任含め7人)がパワーポイントデータや論文の誤字脱字にいたるまで事細かに指導するのは物理的に無理があります。我々7人にも、通常の授業や部活や学年の仕事などがありますので。そこで、春日部東では、人文科生徒が2年生になると、「各部署の主任級」や「進路指導で通年てんてこまいになる3年生の正担任」等を除く全教員に、お1人につき1名、面倒をみていただいております。
これにつきましても、人文科としてあまり負担を職員間に増すわけにもいきませんので、いただくご指導につきましては原則「生徒の言っていること、作ってきたデータ、書いてきた論文」が、「分かるか、追加で調べたらいいことがあるか、誤字脱字はあるか」くらいとしてあります。我々が言うところの「探究論文」の形になるかは、砦として人文科の担任と主任が指導をするわけですが、例年、先生方には温かいご指導をいただいているところです。
先生方(同じ職場の同僚ですが、今回は敬称な感じで!)には、あらかじめ2年生各自が1年生の末まででなんとか立てた「研究のタイトル名」のみを示して、どの研究をしている生徒を面倒見たいか、希望調査をとります。今年も担任のT教諭が、一任も含め、できるだけ先生方のご希望にそえるよう割り振りを行いました。
この7時間目の時間帯は、普通科でも1年生全クラス、2年生全クラスで通常の授業を行っております。その授業担当が個別指導担当に当たっていれば、この時間には会えませんので、そういう先生が担当になっている生徒は、PC教室に残ってポスターを進めます。
彼らは別でアポをとって合いに行きます。そういったこともトレーニングです。
春日部東には、廊下に面談や1対1での学習指導用に長机が豊富にありますが、各階の長机はご覧の通り。
…さあ、次回にうかがう時は、研究内容のポスター発表会に向けて、ウィンドウズアプリ「パワーポイント」での資料作りが進んだ頃。個別指導では単に作ったものを見ていただくだけではなく、生徒は「アポイントの取り方」「礼儀作法」等も学ぶことになります。大切なことです。2年生諸君、今年も頑張りたまへ。