日誌

【生物部】6月5日(月)フィールドワーク 川久保公園

6月5日(月)フィールドワーク 川久保公園

 この日は順延になった体育祭が無事行われた日で、皆ぐったりしているかとおもいましたが、思いのほか元気でしたし、梅雨入り直前でかつ天候にも恵まれておりましたのでフィールドワークに出かける大切なチャンス、と決行。前回古利根川に来た際は、川のちょうど反対側で皆で魚網を水に入れての活動でしたが、今回は部活でも初めて訪れる、反対側の「川久保公園」。学校からの移動距離はちょっとだけ遠めですが、自然観察には反対側よりよい環境。しかも今回は全員にiPadまたはスマホを持たせて、「見つけためぼしい生物は撮影をしておいて。帰ったらプレゼンしてもらうから。」と、いつもと違う趣向。

 

 とりあえず、副部長のE君、体育祭の徒競走で1着おめでとう!生物部なのに!

 

 

 さて本題です。

 皆、元気に公園の最深部までずんずん進んで、折り返してきます。

クモがイネ科の植物の葉をきれいに折り巻いて作った巣をはがしてみる3年生。

2年生はたいてい、3年生と異なる視点でエモノを探しに歩きます。

後半。各自ボチボチいくつかのプレゼン用画像を用意できてきた頃。

演劇部と兼部の3年生Iさん。さすがです、仲間の目やファインダーが向くと、さっそくパフォーマンスが。

次の写真の、奥の右側、桜並木のところが前回のフィールドです。

手前、4人の生徒側に見える川の流れは、実は流れではありません。奥に古利根川本流がありまして、本流と岸辺の間に水草豊かな中洲があるのです。こちら側は写真中央に見える水路で本流とつながった半止水域で、こうしたところは大雨の後に大増水しても、小さめな水生生物たちの退避場所となる大切な環境です。自ずと普段から生物密度は濃い目です。「ワンド」とおなじような機能を果たしている場所です。

 

樹上に何か見つけた時、サクッと木登りできる人材は貴重になってきた気がします。

部長のDさん、何か緑色でセミのような体形の小さな虫を見つけて登ったそうですが、ターゲットは得られませんでした。

 

止水域で、イトトンボをみつけて捕りたい副部長Eさんと部長Dさん。

「網関係は、希望するなら持っていくのもいいですよ」と伝えておきましたので、こうして持参する部員も。

みごとイトトンボは捕まえました。

あとからきてイトトンボをつまんで観察するH君。

 

 この時期は、私こと顧問含む昭和中~後期の昆虫少年にとりましては、ターゲットがじりじりと出現する時期です。カブトムシやクワガタなどを筆頭に、子どもたちの間で勝手にアイテムランキングが生まれ、その上位に挙がるような虫は、梅雨前にポツンポツンと現れ始めたかな、と思ったら梅雨でしばらくお預け、そんな時期です。今回のフィールドワークでも、正直「ゲット!」となるような虫は、まあ、いませんでした。子ども時代の私だったら見向きもしなかったでしょう。しかしそこは、環境破壊も進みに進んだ今どきの子供たちや我が部員たちにとりましては、つまらぬランキングもなく、分け隔てなく広く興味を持ってもらえて、フィールドワークのやり甲斐があります。

 

学校に帰り、各自最大3枚程度画像を選んで発表です。

どうしてもなにについて発表してくれたか思い出せない部員もいまして、(面目ない!α君β君!)画像はまとめて載せます。

●プレゼンされた生物

哺乳類:木に登る大型動物(部長!)

鳥:カワウの飛翔の動画、シジュウカラ

虫:カノコガ、ナナホシテントウ、カメムシ、ミツバチ、ハサミムシ、イトトンボなど

植物:スイレン科水草、アジサイ、タンポポ、オオバコ、樹木の枝の変わった成長ぶりなど

●その他、現地で見かけた生物

虫:ショウリョウバッタ幼虫、リンゴドクガ毛虫by生徒/グーグル先生、カメムシの仲間多種類多数、クモの仲間、オオヒラタシデムシ、アメンボウ、クロウリハムシ?

解説した植物:クルミ、葦、ガマ(因幡の白兎と)、ヤブガラシ(ブドウ科)など

 ●まともな写真が撮れた生物

 クルミ…何クルミかは分かりません。河川敷にはけっこう生えています。本校から春日部駅までの途中でも、歩行者が手に取れる高さに実がなっています。何年か前に本ブログで紹介しましたが、近年はクルミの木にさえ樹液食昆虫が集まる時代、あるとつい木全体を見てしまいます。

 オオヒラタシデムシ幼虫。現場では生徒にクロシデムシと紹介してしまいました。シデムシの仲間は、主に死んだ動物を食べる第一段階分解者の仲間で、このヒラタ~は幼虫も成虫もよく見かけ、またミミズや昆虫の死骸を食べているところも時折見かけます。

 アメンボウ…何アメンボウかまでは分かりません。我々の見かける範囲で2種類はいる認識です。写真を拡大すると少し分かりますが、かれらが微毛が密生した足先の表面張力を利用して水上に浮いて?いるのが分かります。(水につかっていないので、浮く、という表現はちがいますかねぇ?)カメムシやセミ等と同じ仲間ですね。

 リンゴドクガ幼虫?…葦を食べていました。大型で葦を食べる黄色い毛虫はちょっと新鮮。生徒がしきりに「たくさんいます!出っ張ってるところにもいて危ないです!」この虫は私は自分で調べていませんが、グーグル先生にきいた?生徒によると毒はないとのこと。毛虫はつくづくファンキーな見た目ですね。

 シジュウカラ…近くの生徒が見つけてさわぐので便乗して撮影。ここでつついているのは毛虫ではありませんが、このあと上記リンゴドクガ?幼虫を1匹加えて樹上へ移動し、その後落として飛び去りましたが、部長によると落ちた毛虫の中身は食べられていた、とのこと。

 スイレン科の水草…スイレン科に詳しくなく、しかもこんな画像のみでは確かめようもありませんが、なんとなく「ジュンサイ」だったらいいな、と思いました。

 そして今回の目玉の「スジハサミムシモドキ」!

初めはハサミムシということ以外分からず、これだけは、持ち帰りました(観察後、逃がしました)。

 発見のきっかけですが、生徒が茎先が乱れて葉が伸びられず乱れて詰まった葦をみて、なぜこうなるのか、と尋ねるので、まずはイネ科の植物の特徴を見せるべく葦の茎を剥いて見せ、葉の柄にあたる部分が筒状になり茎を抱き込んでいるのを示し、これが繰り返されることで茎が丈夫かつ撓るようになるのだが、虫やつる植物などの外的要因により先端につっかかりが生じると、葉がうまく展開できず乱れてしまうのだ、と教えました。そして、乱れた茎先を剥きほどいてみると、中からわらわらっとハサミムシが出て来るではないですか。

 ハサミムシですが、私のこれまでの認識だと、石や倒木、落ち葉の下、地面に多く見つかり、かつ近年はめっきり見かけなくなったな、と思っていたところで、こんな背の高い細い植物のしかも最上部で集団で隠れている、という状態は初めてでした。

  当日は生物室に持ち帰って、部長が(グーグル先生?)キバネハサミムシだ、とのこと。黄色い羽の鋏虫、ですね。そのまま受け止めたのですが、後で逆にキバネハサミムシで検索すると、似てはいますが明らかに別の種。尾端の鋏の(形状はクワガタの大あごよろしく、最低2つの型があるようですが、形状ではなく、)腹部からの出具合、それに翅の模様の入り方、全体のボリュームなど、個体差を超える違いが複数見受けられます。もしや、と「外来ハサミムシ」で検索すると、ありました!

 「スジハサミムシモドキ」は、2006年から2007年にかけて渡良瀬遊水地周辺で発見されたようです。当時は夜間に明かりに集まり住居に侵入したことがきっかけでみつかったようです。葦原に多く生息し、成虫も幼虫も葦の葉上や刈り株の中に住み(おお!まんま!)、よく飛翔し、夜は明かりにも集まる、とのこと。また、元々はオーストラリア東岸のハサミムシの仲間らしいです。発見当時の調査では国内で渡良瀬遊水地周辺でしか見つかっていなかったようですが、他のサイトで水元公園や東京都のものもありましたので、この20年近くで、主に葦を頼りに少なくとも南へは分布を広げたのでしょう。ここ春日部はその過程で通過またはたどり着いた者達が定着したのかもしれません。

  外来種は問題であり、困ってしまいますが、彼らに罪はなく、また人為分布でなければ自然現象の範疇。遠い異国で定着し生息を拡大するなんて、そこはロマンでもあります。