日誌

8月6日 フィールドワーク④ 草食性昆虫観察・採集

8月6日。夏休みも真っ盛り、春日部東高校は運動部の声や吹奏楽部の出す音でにぎやかです。

周辺のフィールドは、稲も穂を出し、バッタの類もあらかた成虫になっています。
虫取りなどほとんど経験のないいまどきの子どもたち。
部員のA君にも体験してもらいたいと思います。ただ、ちゃんとした捕虫網がない・・・

本校で8の字と呼んでいる、外周走で走るコースの内側の田んぼにあるあぜ道で、稲を中心に多様なイネ科の雑草とバッタの食痕を見ながら、採集を試みます。

始めてで、なかなか要領を得ませんが、頑張ります。
コツさえ覚えてしまえば、手で取れますが…経験が大事です。

今回のターゲットではありませんが、そんなことを言わず周辺の環境は観察しておきたいです。
ふと用水に目をやると、小魚が。

一番奥のかどでまっすぐこっちをむいているのが在来のミナミメダカ。頭から背中にかけて黒いスジが見えます。
あとは特定外来生物のカダヤシです。顧問は本校に転勤してきて初めてカダヤシを確認しました。
どこででも魚取りをしたい人間ですが、幸運にも??本校に転勤してくるまで、日本各地で在来メダカを絶滅に追いやるとまで言われ、猛威を振るっているカダヤシを、見たことはありませんでした。
困ったことに春日部東の周辺には、印象で1:1から3:1くらいの割合でいっぱいいいます。
網に入ってしまっても困る子たちですね。

こちらはトウキョウダルマガエル。水田の縁にたくさんいました。
カエルと言えば、かれこれ十数年前に世界中で多くの両生類を滅ぼした悪魔「カエルツボカビ」が日本にも侵入しただかで、公立高校にも不審な死に方をしたカエルを見かけたら一報を、というおふれもまわりました。
確かにダルマガエルを始め、カエルがめっきり減った時期でしたが、結局農薬?
今、アマガエルはもちろん、ダルマガエル、ヌマガエル(このへんは国内外来種?)、ツチガエルがふんだんに見られてうれしい限りです。
逆に、特定外来生物になってしまったウシガエルは、駆除されているのかどうか、めっきり見かけなくなりましたね。

さて、今回のテーマに戻りますが、イナゴ!蝗、稲子です!

ほかのバッタ類はさして変わらずだったのに、イナゴだけは一時激減しました。
今回、私が小学生の頃に戻ったかのような錯覚を覚えるほど大量にいました!
農家さんはたまらないでしょうが、これもうれしい!
昔・・・30年以上前、春日部市内でですが、背中がショッキングピンク色のイナゴがたくさん捕れたことがあります。
この色彩変異はバッタ類でまれに見かけられるものですが、これだけふんだんにいれば、望みをもてます。
あと、ピンクでなく、のっぺりとパステルグリーンになるものも当時多くいました。これもまた見たい。

A君、バッタには苦戦していましたが、なんと魚捕り網で、シオカラトンボの♂を捕獲!これは大快挙です。
赤とんぼのなかまと違って、かなり捕まえにくいはずですが!キレイでカッコイイ虫です。
飛ぶ虫として、このデザインの洗練され具合!

なんと、この後、シオカラの♀(ムギワラトンボという愛称)も捕まえました。いやはや!

さて、生物室に帰ってきて、成果の確認です。まずトンボから。

巨大な複眼ヘルメットや、蚊を捕まえるための前を向いたカゴ状の脚などを観察して、窓からリリース・・・と思いきや、部屋内に逃げてしまい、ひと手間増えました。

次に、オンブバッタの♀。子どもが初めて捕まえるバッタかもしれません。
名前の通り、かなりの確率でオスがメスの背中に乗った状態で発見されます。

こちらが♂。メスの半分以下のボリュームです。かわいい。


お次はショウリョウバッタの♂。キチキチ音を出しながら飛んで逃げる緑のバッタです。
草原で追い回して遊びませんでしたか??たまに薄茶色の個体もいますね。


そしてショウリョウバッタの♀。この虫は、今更しみじみと、でかい。

それにしても、バッタの体も、よくできています。
各パーツが見事に合わさり、ピッタリにしつらえたスーツのよう。
ちなみに大きめのバッタ類は、イネ科の葉をかじるくらいなので、おおあごは意外と大きく強靭。口をめくらないと見えませんが。もし本気で指をかまれたら、出血すると思います。でも、どんなに酷い対応をされても噛んではきません。

観察が終わったら、全てリリース。今回も周辺環境の様々なことを観察できました。