日誌

10月25日 個人研究テーマ検討と、たまたま生じた都合での観察

 中間考査前から投げかけていましたが、いよいよ個人研究を始めていければと考えています。

前々回から今回にかけて、次のようなステップで研究対象選びを進めました。

 

 ①研究テーマの例の一覧をプリントで配布、項目ごとにざっとイメージを説明

 ②興味の持てそうなものに複数〇をつける

 ③一度顧問で確認し、返却し、さらに1週間考える

 ④1つに絞る

 

 条件はほとんど付けず、かなり自由に受け止めさせました。

 

 ・単独が基本だが、誰かと組んでもよし、組むなら2人を推奨、3人が限度

 ・テーマに取り組み始めてピントこなければ変更可(もっとも調査や研究とはそれが普通と言いつつ)

 ・個人テーマ+誰かと別の研究をを共同でやるのも可

 

25日は2年生のBさんCさんがお休みでしたので、1年生6名で、次のように仮決めできました!

 

 ●D君E君:【ドブガイの生息状況調査】

  大きくなると大人の拳くらいになる淡水2枚貝です。10種類近くいる中の、最も普通の種です。

  「タナゴ」がこれらの貝の中に卵を産み付けます。

  本校の周辺の水路にはタナゴの稚魚~若魚もいますので、ドブガイの生息の可能性を物語っています。

  ちなみにこれらの貝の幼生(グロキジウム)は、ドジョウなどの淡水魚の体表に短期間寄生します。

  このサイクルがないと稚貝になれません。もちつもたれつ?

  ・・・さて、顧問はここ春日部市内で30年ほど前にドブガイをさんざん見つけました。

  2人にも是非生息場所を発見してほしいと思います!

 

 ●H君I君:(具体的には敢えて伏せます!内緒!)

 【市内に自生するとある水草が新種か変種か普通種の変異個体か調べる】

  ロマンを追いかけるテーマですね。

  顧問が数年前に「まさか!?」と思って、一時は筑波の研究時に連絡を取ったのですが、

  結局突き詰められずそれきりになっているヤツを、(自分個人では動けなそうなので)譲ります。

  高校生でどこまで追求できるか分かりませんが、限度までやってもらいたいと思います。

 

 ●Fさん:【タニシの生息状況や修正などの調査】

  身近な動物(鳥類のうち渡りをしないものを除く)の中で、最も目撃しやすい動物だと思います。

  活動する期間も昆虫より長いでしょう。水のある所ならかなりの範囲に生息しています。

  田んぼに水が入ると、カエルや魚より早く表れて、無限に増えて、

  冬に水が一気になくなる直前まで、いつでもどこでもたくさん見られる。

  でも、「そこにいる」以上のことをどれくらいの人が知っているでしょうか。

  きっと専門書を見ないとわからないレベルの発見があることでしょう。

 

 ●G君:【校内外のカミキリムシ生息調査】

  文化祭で紹介したシロスジカミキリのような大きな種類は実は少数派で、

  日本国内には1cm前後の小型種が無数にいます。美麗種も多いですが、大多数は地味です。

  イメージは本当に「無数」です(笑)が、実際は3桁でしょうか。ここは不確かなままスルーします。

  部活内でも、一昨年から昨年にかけて、イグアナのケージの止まり木に発生しました。

  まさかすべての種類の植物にそれを専食するカミキリムシがいるのでは!!??

  と思えるくらい、多種多様な植物の、たいていは茎や材の中に幼虫が巣食っています。

  G君、校内からどのくらい見つけらるでしょうか。

 

さて、テーマを仮決めした後、「初回」ということで次のことを指示しました。

暗くなるまでの30分ほどが時間的にリミットです。

 

「とりあえず、対象がみつかるかどうか、現地に行っておいで。その場に行くと、必要な道具などに気が付くから」

 

顧問が始めから全て指示してしまっては、個人研究の価値に響きます。

何が新たに必要か、どうしたいのか、各自、自発的に気づいて動いてほしい!

出かける前に、スマホの使用を許可し、短時間、対象物の画像や情報を調べてもらいました。

さあ、でかけましょう。

カミキリムシのG君には、独自の指示をしました。「植栽の樹木の下に落ちている木の枝を集めておいで。」

ロマンを追う研究希望のH君I君には、対象の植物の自生地までは少々遠いので、急遽別の指示をしました。

 

今回の画像はなんとほとんどこの「急遽別の指示」のものです!

 

実は夏前から飼育していたカブトムシが全て死んだ後の水槽ですが、成虫の飼育環境のままでした。

文化祭あたりでは卵がいくつかあったことは確認していました。

その後、少し育った幼虫1~2匹がガラス際にトンネルを掘って姿が見える状態が見えていました。

幼虫の食用の腐葉土の量が、幼虫の数が数匹だとしても、まるで足りないことは分かっていましたが、

少し前までなにも異常は感じなかったので、そのうちフォローしようとのんびり構えていたのですが、

この日の活動の冒頭、テーマ決めの前の「飼育栽培生物の世話の時間」に、一気にキマシタ!

 

I君が「先生、幼虫だけでもゼリーは与えた方がいいんですか?」

内心「何を言っているんだ」と思いながら見れば、初めて見る状況!

複数の幼虫が土中から表面に出てきてしまっていて、そのうち2匹は成虫用の「ゼリー」を食べていたのです。

用土をよく見れば、90%以上が「フン」!!数匹どころじゃない匹数いるはず!

これは今日、今すぐフォローするしかない状況!

 

ということでして、DEFG諸君が目的地に出かけて帰るまでの30分、H君I君お二人には、

「カブトムシの水槽を外の庭でひっくり返して、幼虫だけを回収する」よう頼みました。

私はその間、急遽近隣のホームセンターに出かけて、園芸用ですが腐葉土を購入してくることにしました。

 

↓ 傷つけあわぬよう、大小で分けさせました。なんと全部で36匹!元の環境では本当に限界でした!

↓ 水槽の側面に残る黒いこびりつきが、元の用土の深さ・・・浅い!ギリギリのタイミングでフォローできました。

↓ 木の枝を集めているG君です。イタズラしているわけではありません(笑)

↓ ドブガイ組とタニシのFさんも帰ってきました。E君はアマガエルを連れて帰ってきました→飼育個体に追加

↑ ちなみに、網でのドブガイ採取は、いるのが分かっていても面倒です。早く気が付いてほしいです~

↓ G君だけ木の枝で忙しいのですが、あとの5人は幼虫に興味津々!

 新品の腐葉土(外国産ですが)を、今度はたっぷり入れます。

(それでも足りないのでそう遠くないうちに再度入れ替えが必要でしょう)

↓ 直にさわれるD君と顧問で、全部表面に乗せました。

 36匹みんな、ちょっとの間静止したあと、一斉に潜り始めます。

 5人とも全部潜り終わるまで「飽きねえ~」と「見とれて」いました(笑)

↓ さてG君ですが、顧問がうっかりしていたら、とんでもない量の枯れ枝を集めてしまいました!

 写真は、残す枝を選ばせて、最後に残ったもので、はじめこの10倍くらいのボリュームがありました。

拾ってしまったら、元のところには戻しにくいし、

戻すところを見られたらごみを捨てているみたいだし、

まとめて置いておいてもイタズラにしか見えず、業務主事さんたちにご迷惑をおかけすることになるしで、

うっかりでした!

 

「小さな穴」が表面にあいている枝は、カミキリムシが卵を産んでいるかもしれません。

実例を示すとG君「おお!」と微笑みました。左の角の10本程度がそういう枝です。

たまに加湿して外気と同じくらいの温度で管理すれば、もしかすると成虫が羽化してくるかもしれません。

たくさん枝分かれしている大きなものは、実は木の枝ではなく、

「棕櫚(シュロ)の花穂」が枯れて落ちたものです。

カミキリムシがたかった形跡は見つかりませんでしたが、「ハラビロカミキリ」の卵が産み付けてあったので

(写真ではちょうど見えないところに)、他の皆に見せるために残しました。

 

次回以降、個人個人の動きが出て来そうで、とても楽しみです!