日誌

9月2日(木)3日(金)文化祭(校内公開のみ)

 「今年度の文化祭について」

一般公開中止により外部の皆様に見ていただくことができなくなりましたので、

なるべくイメージが湧きますように、写真多め、文少な目??で頑張ります。

写真は、当日の画像だけでなく後日撮影のものも、説明の都合で混ぜました。

とは言え、記事としては長くなりますので、本当に細かいところは諦めます…。

 

当日までのドラマを箇条書きで紹介します。

 

 ①     当初のテーマ:「生物室全体を巨大な進化の系統樹に見立て、

   部で飼育管理している動植物を、枝に合わせて配置して展示する」

    ※その中に、いくつか小さなテーマを設けてコーナーを設置するイメージ

 ② 1学期後半に「一般公開中止、内容は基本『各団体作成の動画視聴※』」が決定

    ※展示部門は文化部の展示のみ残留、生物部は動画は作りませんでした

 ③ 校舎の夏季改修工事の影響で、展示準備に不安(準備直前に引っ越し戻り※)

 ④ コロナ禍の悪化により、夏休み後半は部活を休みにすることに

 ⑤ 2学期当初は本校では分散登校に(出席番号偶数・奇数の入れ替え制)

 ⑥ 文化部の事前準備は9月1日の午後のみに(人員は半分!)

 ⑦ 文化祭2日間とも午前と午後で生徒入れ替えという形態に

 ⑧ 生徒が文化部の見学をできるのは

   午前出席組の放課後45分間と午後出席組の放課後10分間のみ

 

このような逆境でしたが、顧問としましてはまず部員に「進化の系統樹」や、

これまで世話をしてきた生物についての別角度の興味を持ってほしいので、

展示は皆で頑張って完成させました。

 

●スタート

 

入ってすぐの黒板に「地球で初めて生命と呼べるものが生まれた時の様子」と、

「地球の歴史を365日とした場合、何月何日に何が起こったか」の表を掲示し、

そこから室内に生体または資料がある生物に向かってヒモを引っ張りました。

 

●ドメイン

 

まずは真核生物か原核生物か(細胞核がちゃんとしている生物かどうか…?)。

まあ、取り扱う生体は全て真核生物です。

 

●原核生物コーナー

 

普通の高校では手に負えないグループです。ヒモは1本もありません。

門の札も、アーキアとバクテリアを混ぜられても自分では元に戻せません(笑)

 

●真核生物から各「界」へ

 

この写真では見にくいですが、逆さにおいてある椅子が「界」の入り口です。

入口から見えるように、サイドにロゴが貼ってあります。

ここではヒモの色で見てください。

  ・右端の黄色が「菌界」。

  ・青と緑が「植物界」。青は、ヒモが足りないので被子植物をまとめました。

  ・中央のヒモ無し界が「原生生物界」。

   椅子の背後の門札は、緑が植物寄りの各門、ピンクが動物寄りの各門です。

   ここもアーキアやバクテリア同様、飼育栽培生物はいませんのでヒモがありません。

  ・白が「動物界」。

 

まずは動物界 

 

●どうしても飼育対象が多くなる「脊索動物門」

 

大雑把に「背骨に沿って神経節」がある生き物をまとめる門です。

このコーナーでの展示生物は全て「脊椎動物亜門」そして「顎口上網」を通ります。

「(上下に開く)アゴがある動物」ということですね。

その先は魚の網が3つと両生、爬虫、鳥、哺乳の7鋼に分かれます。

馴染みが出るように「鋼」を「類」に置き換えますが、

【魚類、魚類、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類】と並べてみると不思議ですね。

 

※これ以降、紹介対象のない「鋼」は省略します。

 

★「条鰭鋼(ジョウキコウ)」・・・飼育魚類は古代魚のポリプテルスも含めて全てここです。

 鰭「ヒレ」にスジスジの骨が入っている仲間、ということでしょうか。

 ▶ライギョ(カムルチー)

 

 写真のプリントアウトを展示しました。

 文化祭の数日前に、学校敷地脇の用水で見つけました。

 外来種なのですが、目撃頻度は極めて低く、これは記録に残し展示もしたい、と考えました。

 どのみち40cm以上のサイズで捕獲はもちろん飼育は困難です。いけすでもないと・・・

 ▶ポリプテルス・オルナティピンニス

 私が顧問に就任する前からいたこです。大きくなりました。

 いつまでも臆病です。

 ▶ランチュウ(キンギョ)

 これも就任前からいたこたちです。

 品種改良された生物は、学名は原種になります。

 Carassius auratus。中国のフナの仲間です。

 ▶オイカワ、モツゴ(関東名クチボソ)、キンブナ?(何フナか自信なし)

 オイカワは8月に敷地脇用水で、他は一昨年に現3年生のA君と採取したものです。

 ▶アフリカン・ランプアイ

 一昨年購入の飼い込み個体たちです。

 ペットショップで見る姿とはだいぶ変わっています!

 この仲間はカダヤシ目で、昔はカダヤシはメダカ目に含まれていましたが、

 メダカがダツ目へ移動したためカダヤシ目が設けられた、という経緯があります。

 ▶グッピー

 これもカダヤシ目です。

 昔の部員のヒーター入れ忘れで、

 私の顧問就任直後に数匹になってしまったのですが、すぐ復活。

 それ以降ずっと飽和状態をキープして繁殖を繰り返しています。

 品種は交じりに交じってもう血統はありません。

 

・・・条鰭鋼(さかな)はまだいるのですが、このへんで。

 

★「両性鋼」

 ▶アカハライモリ

 文化祭では3匹中1匹だけパックで机の上に出てもらいました。

 後日談ですが9月25日の学校説明会にいらした中学3年生の中に、なんとなんと、

 このイモリを自分で繁殖させて、今自宅にすごい数飼育しているというコアな方がいらしゃいました!

 ▶アズマヒキガエル

 

 円らな瞳の正面ではなく、たいていの方が不快がられる背中の画像ですみません。

 文化祭中は、草の茂った水槽ではなくパックに入ってもらいました。

 学校説明会で保護者の方と盛り上がった話(後日談)ですが、

 茨城県のとある山でガマの油をやってらっしゃるところがありまして、

 その店頭で飼育しているヒキガエルのポップに「世界でここだけ!指が4本!」

 というような売り込み文句があったのですが(今はわかりません)、

 残念ながら世界中のほとんどの両生類は原則前足は4本指でございます(笑)。

 ▶ニホンアマガエル

 1学期に部員が採取したこです。これまで順調に飼育できています。

 

★「爬虫綱」

 ▶ニホンヤモリ

 

 文化祭期間中は3匹のうち1匹にパックに入って机に出てもらいました。

 隠れるところがなくてかわいそうでした。

 後日談ですが、7月下旬に生まれた卵は、9月9日~10日の夜間に2つとも孵化しました。

 今のところ、順調です。

 ▶グリーンイグアナ

 クル病の経過ですが、夏休みの直射日光浴が効いたのか、食欲はいい感じです。

 へこんだ背中や、やせてしまった四肢が早くぷりぷりに戻ってほしいです。

 アゴ下のできものもだいぶ縮小しましたが、波がありそうで心配です。

 ▶ハルマヘラアオジタトカゲ

  生体ではなく、今回の文化祭展示の小テーマのひとつ「我が家のペット自慢写真コンテスト」に

  応募してくださった3作品のうちの1枚を、このコーナーに出させていただきました!

  なかなかいいペットを飼ってらっしゃる!

 ▶ミシシッピアカミミガメ

 文化祭で机に置いたのはコガメサイズの3匹。

 他に、引退した現3年生A君が一昨年捕獲した中サイズのオスと、

 顧問が捕獲した大サイズのメスが2匹います。

 亀捕りは楽しい実習ですが、いずれ「特定」に格上げされる

 「要注意外来生物」をむやみに増やすのも後が大変そうです。

 

★「鳥鋼」

 生徒にアレルギーが出ると怖いので鳥類は飼育していません。

 もしするならヒメウズラでしょうか・・・

 展示で鳥類コーナーが(メジャーな「鳥類」なのに!)何もないと寂しいので、

 カワセミとシラサギ(チュウサギ)の写真を出展しました。

  ▶カワセミ

 

 本校周辺にもいるんですねぇ。

 文化祭の数日前に、ライギョと同じく敷地脇の用水で発見。

 カメラをとって戻って、1枚撮影したところで逃げました。

 上の写真は文化祭当日に展示した1枚目とは別の写真で(3枚目くらい)、

 逃げた後に第2グラウンド脇に舞い降りたので望遠で撮った1枚です。

 

★「哺乳鋼」

 部活で哺乳類を飼育管理するならネズミ系でしょうが、しておりません。

 哺乳類はどうしても毎日掃除しないと臭くなりますし・・・

 よって写真はありませんが、やはり展示においてこのコーナーにも何か欲しいので

  ・一昨年展示した「アブラコウモリ」の標本

  ・部員の集合写真(ホモ・サピエンスとして分類カードも添えました(笑))

  ・文化祭展示の小テーマのひとつ「我が家のペット自慢写真コンテスト」に

   応募してくださった3作品のうち「シベリアンハスキー」と「イエネコ」

 ・・・を展示して、ちゃんとヒモを引っ張りました。

 

●やはり飼育対象になりやすい「節足動物門」

 

 自分で言っていて、つくずく思いますが、人類が家畜にしたり養殖したり

 ペットとして飼育したり愛玩したりする動物は、ほっとんど脊椎動物か

 節足動物なんですね・・・内訳です。亜門が4門あります。

  ・鋏角亜門・・・クモ、サソリ

  ・多足亜門・・・ムカデ、ヤスデ

  ・甲殻亜門・・・エビ、カニ、ヤドカリ

  ・六脚亜門・・・昆虫

 ここでは鋏角亜門だけ画像がありませんが、

 当日はクモを数種展示して、全門実物を展示できました。

 ちょっと 思いますが、「脊椎動物亜門」の「顎口上網」の中に、

 「条鰭鋼、他2鋼、両生鋼、爬虫鋼、鳥鋼、哺乳鋼」の7鋼があるのと比べると

  「節足動物の4門はけっこう谷間の深いグルーピングなんだ・・・」

  「サカナと人間はそれよりも谷間がだいぶ浅いグルーピングなんだ・・・」

  と不思議になります。

 

●多足亜門

★ムカデ鋼

 ▶トビズムカデ(多分)

 

 顧問宅の庭にいたのですが、

 サイズ的にカナヘビやカエルまで食べてしまいそうです。

 庭に雑多な小動物に住み着いてほしい私の都合で、

 捕獲して飼育していたものを、部活の教材として持参し、

 それ以来部員がずっと世話をしています。

 

●甲殻亜門

★軟甲鋼(普通に入手できる甲殻類はたいていこの鋼)

  ▶スジエビ

 見づらいですが、識別できるもので10匹は写っています。

 水槽内で繁殖もしているようで、現在かなりの数が安定して生きています。

 ヌマエビの仲間も少数ですが、混ざっています。

 ▶モクズガニ

 これも文化祭の数日前・・・いや前日!に、ライギョやオイカワやカワセミと同じく

 学校敷地脇の用水で捕獲しました。軟甲鋼の顔ぶれでどうしてもカニは欲しかったのです。

 本校教頭が生物に詳しいのですが、同じ場所で手のひらサイズのモクズガニを目撃しておりまして、

 自分も是非見たいと思っていましたが、別でこの個体を見つけました。

 甲長3cm程度のメスです。

 ▶オカヤドカリ

 きわめてシャイですので至近距離ではなかなかまともに撮影できません。

 離れたところからズームして撮影。

 この仲間は現地沖縄では天然記念物で、許可を得た業者しか捕獲販売できません。

 安価で売られていますが、本来ものすごい寿命で、かつ長期飼育が難しい生物です。

 実情、初めから長期飼育を見込まれておらず、最もかわいそうなペットかもしれません。

 カギは冬越しと健全な脱皮環境の確保です。

 ▶オカダンゴムシ、ワラジムシ

 およそどこにでもいる存在ですが、実は極めて珍しい点があります。

 卵から一生涯を完全に陸で過ごす甲殻類は、

 世界中でほぼこの2種類「ダンゴムシ」「ワラジムシ」だけなのです。

 もちろん〇〇ダンゴムシ、のようにいくつかの種に分かれますが・・・

  生物部では教材であると同時に生ごみ処理班でもあります。

 よく食べ、よく増えます。

 ▶アメリカザリガニ

 さんざん捕獲・飼育してきましたが今回画像がありません。

 2年生以下、原則1人1匹飼育管理しています。

 

●六脚亜門

★昆虫綱

 昆虫は標本も併せて色々いるのですが、割愛します。

 今回は1枚の写真のみ(もちろん文化祭当日に展示したもの)。

 ▶カブトムシ

 

 はっきりわかるだけで6匹写っています。

 写しきれない残りがさらに数匹いました。

 ここは庄和公園のさらに先、江戸川の河川敷です。

 中央の木はヤナギで、傷(茶色い木くずが束で飛び出している)は

 おそらくシロスジカミキリによるものと思われます。

 日本最大のカミキリムシで、目撃頻度が激減した昆虫ですが、

 顧問は何年かぶりにここで3匹つかまえました。

 7月26日フィールドワークの記事と併せてみてほしいことがあります。

 河川敷のヤナギは、一定以上の太さのものは全て

 カミキリムシ幼虫に食われていました。

 ボクトウガはいないので樹液は長続きしないでしょうが、

 樹数と傷数はふんだんにありますので、

 樹液食昆虫の新天地となっているかもしれません。

 道理で、昆虫採集動画で河川敷にクワガタを捕まえに行くものが近年多いはずです。

 実は利根川の河川敷で、2mもないクルミの若木にノコギリクワガタやハナムグリが

 群がっているのも見かけました。

 もしかするとシロスジカミキリも「栗畑→河川敷ヤナギ」、

 樹液食昆虫も「クヌギ林→河川敷ヤナギ」という変化の図式が

 大々的に進行中なのかもしれません。

 

ここから植物界

 

昔から、生物を分類する際は、世界中の学者たちが頑張って

外見的物理的特徴をミクロの世界まで見極めて分類していました。

ここ数十年の「分子系統学」つまり遺伝子解析して進化の道筋を見極める方法により、

多くの「分類し直し」が進行中です。

植物はこの話題をするにうってつけです。

中に3つコーナーを設けました。

 ①海から陸上へ、植物の上陸と原始植物

  A:原始的な植物の各門

  B:裸子植物の各門

 ②サトイモ科にみる種の多様性

 ③部員が育てた苗

・・・①と②だけ記事にします。

 

①海から陸上へ、植物の上陸と原始植物

●コケ植物門

 ▶ゼニゴケ(細かい種類は不明)

 

 シダの鉢植えに勝手に生えてきました。そのまま教材。

 

●維管束植物亜界

●古マツバラン門 ●ヒカゲノカズラ門 ●トクサ門 ●シダ植物門、

●マオウ門 ●マツ門 ●ソテツ門 ●イチョウ門 ●被子植物門

 普段、我々が目にして「植物」と認識するものは、ほぼこの9門になります。

「亜界」が別ですが、門を横並びとこだわれば、

前述のコケ植物門とシャジクモ門、緑藻門が加わります。

脊椎動物と同じで、横並びと考えると不思議ですね。

物量的には、また種類数的にも、被子植物門、シダ植物門、マツ門が

3大グループになりますでしょうか。

 

 

A 原始的な植物の各門

古マツバラン門 ●ヒカゲノカズラ門 ●トクサ門 ●シダ植物門

 ▶マツバラン

 

 ▶ヒカゲノカズラ

この2つはトクサと併せて恐竜以前から形態がほとんど変わらない

「生きた化石」の年長組です。

 太古にはこれらの大木が森林を形成していたなんてロマンチックです。

 

B 裸子植物の各門

マツ門 ●ソテツ門 ●イチョウ門 ●マオウ門

 

 やはり生きた化石なわけですが、白亜紀後期くらいからのものです。

 ▶ソテツ

 顧問宅の大株の脇芽をもいできて植え付け、部員がここまで育てました。

 本来オスメス別株の植物ですが、そのことは無性生殖の教材にもなります。

 

 ②サトイモ科にみる種の多様性

●被子植物門

 特にここはきりがないので、サトイモ科の話題のみです。

 

 サトイモ科は植物は、根菜としてのみでなく、園芸植物として無数ともいえる種数が

 花屋はもちろんホームセンターの園芸コーナー、スーパーや100円ショップにまで

 出回っています。

 その形態もぱっと見は、球根、株立ち、地下茎、地上茎~つる、木立ち、また水草、浮草と

 とんでもない多様性を見せます。

 逆に共通点は花穂を覆う「苞(ほう)」と、花穂をつける生長点が先端から何番目かの法則、

 体に含むシュウ酸カルシウムと、単子葉植物に珍しい網状の葉脈です。

 さて、物理的外見的特徴を見極めて分類していた時代にはサトイモ科に含まれていた種、

 また逆にサトイモ科ではなかった種が、再整理されたドラマを紹介して終わりにします。

 ▶ミジンコウキクサ

 中央の大きなウキクサがオオウキクサ、周囲の緑のつぶつぶあわあわが

 ミジンコウキクサです。

 ここでの話題外ですがミジンコウキクサは世界最小の種子植物でもあります。

 さて昔の植物図鑑では、ウキクサは独立した「科」でした。

 「近縁だ」との判断でしょう、順番はたいがいサトイモ科のとなりでした。

 それが、実はサトイモ科に属することが判明したのです。しかも、

 サトイモ科内には120も属があるのですが、そのど真ん中に入ってきたのです。

 ▶セキショウ

 ショウブと同じ仲間です。ショウブより丈が低く細い水辺の植物です。

 といってもハナショウブではありません。あれはアヤメの仲間。

 剣のような葉がサトイモ科らしくありませんが、花の特徴などからか、

 長い間サトイモ科に分類されていました。

 これは現在、サトイモ科の外に移動されました。

 かなり初期に単子葉植物の中で枝分かれしたグループらしいです。

 

ここまで読んでくださった方々、誠にありがとうございます!

やはり長くなってしまいました!

展示内容からすると2/3くらいですが、今回の文化祭を紹介しようとするなら

十分網羅しているかなと思います。

皆様にお見せしたかったです!