日誌

生物部顧問=生物系「ちょっと困った場合」の御用達!?

部活動そのものではありませんが、生物系の面白い?出来事が私こと生物部顧問には時折起こります。

画像を入手しましたので、ブログに挙げてしまいます!

 

6月3日(金)体育祭の日 ヘビ対応

 体育科の見事な采配で、天候が危ぶまれた2日3日、両日に渡り手順変更等で予定されていたレースを1つも潰さず実施して、3日の午後は表彰のみ。これもリモートで無事に終了し、あの雹が降る前に学校は解散となりました。あの日のことです。

 午前中に全種目終了し、閉会式も終わり、昼食前。せめて微力ながらお役に立てればと、グラウンドに残り、一部の部活の生徒たちやボランティアで残った先生たちと、グラウンドの片付けを手伝っておりましたところ…

「松本先生、今、忙しいですか??」と家庭科のF先生。ちなみにF先生、前任校からほとんど一緒で、最も長い間同じ職場でお世話になっている方です。

「なんか、困ってますよ。」と、彼女が正門方面を指さして歩き始めます。

「え、なんですかなんですか」とついていくと、体育館の脇あたりに、さらに数名の先生たちが立ってこちらを見ています。お1人が虫網を持っています。

「あーきたきた」「松本さん、ヘビ!」「そこの植え込みの中に」「捕れる?」「網網!」と皆さん。

「捕れる?捕って!俺、だめなんだこういうの!」と、人対人で喧嘩したらぜったい誰にも負けないムキムキのとある先生。カワイイ・・・ムヒヒ・・・それにしても、なあんだあ、自分か生物部員か、誰かなんかやらかしたかと思いました。

「あはは、ヘビね。いーじゃないですか、いても(笑)」と私。・・・まあ、見たら生徒も騒ぐでしょうし、心無い者は危害を加えるかもしれませんし、このままでは皆さんお困りでしょうから、なんとかしましょう。

 ヘビは「アオダイショウ」です。もう10年以上前に、確か埼玉県では絶滅危惧でレッドデータブックに載せていたと思います。貴重な在来種です。みると全長1m未満くらいの、立派な成体です。青大将と言っても、この個体は少しブラウンとグリーンが混ざる渋いカラーリング!キレイ・・・無毒ですし、もし威嚇で噛みついてきても、正直クワガタに挟まれる方が痛いです。ホッケの骨を小さ~くしたような貧弱な歯がならんでいるだけですし、咬合力もたいしたことありません。歯は皮膚には刺さっていきませんので、かみついたところから引きはがすときに皮膚に白いひっかき傷が残るか残らないか、くらいです。相手は体が長いし、前から迫ってもよけるだけですので、網はいりません。

 ドウダンツツジの植え込みの間から覗くと、体育館の外通路(上履エリア)の端っこをゆっくり移動しています。腕を伸ばし、あえて胴体の中央をつかんで引っ張り出しました。さっきより数歩離れる皆さん。なんかさみしい。

 

※おっさん体形が嫌で画像は小さめに(笑)

 

「なんで頭あたりを掴まないんですか?」

「そうすると、余計に暴れてもがくんですよ。腕に巻き付いて来たり。そうすると余計なストレスも与えちゃうし。」

「飼えば!生物部で。」

「いや~・・・」餌が大変です。原則、「生餌」ですが、与えねばならない餌レベルの生き物たちを大切に飼育しているくらいですし、例え生物学上の資料と言い張っても「画像でいいじゃないか」「絶対無理!やめて!」という職員も多くいるでしょう。

一件落着、皆さんはそれぞれ校舎に戻り、私はこのこを掴んだまま正門へ。少なくとも敷地内に戻ってこないように逃がしてこよう。と、正門近くで女子生徒2名が突然通りかかりアッと小さく悲鳴をあげました。

「ああ、コレね。体育館脇にいたんで逃がしてくるところー。」・・・車も通りかかりますし、見られたら変!?結局、遠くまでいくのは面倒で、正門を出て右へ少し移動して、道路をはさんで反対側の畑に逃がしました。無事で生き延びなよ~。

 

6月8日(水)オオミズアオ

 今度は、トラブルというほどではありませんでしたが、対象が珍しいヤツでして。

 私はスクーターで通勤しているのですが、この朝、いつものように正門から敷地内に進入すると、奥に見える職員玄関へ上がる外階段に先生たちが数人かたまっています。珍しい。何事だろう。なにやらみなさん、こちらを見て「あー来た来た」っぽくなっています。

 駐輪して、荷物を持って階段に向かうと、また呼ばれます。今度は何だ、またヘビか!?

「コレー!」と皆さんが指す先を見ると、階段に大きな蛾が。見事、無傷の「オオミズアオ」です。

これはもう、百聞は一見に如かず、まずは写真をご覧ください(今度は大きめ)

 

※植え込みの上にいるのは、踏まれてはかわいそうなので、私が階段からここへ移動したからです。

 さらに職員室に戻ってカメラを持ってきてこの画像を撮影しました。

 

「オオミズアオ」

古典では「月虫」、英語名Luna Moth。沖縄は与那国島の県指定天然記念物、世界最大の蛾の1種である「ヨナグニサン」と同じヤママユガの仲間です。

ヤママユガの仲間で昔はこの辺りでもよく見かけられたのが「クスサン」と「ヤママユガ」ですが、私は両方とも平地では全く見かけなくなりました。オオミズアオは昔からあまりみかけない蛾でしたが、珍しさがそのまま横ばいで、逆に安定してほぼ毎年1~2回見かけています。

 

写真では再現できませんが、朝日に輝く緑がかった翅やもふもふの体、鳥の羽のような触覚など、まさにビューティフル!

昔、2校目の勤務校では教室の壁にこの蛾が出て、女子が職員室に私を呼びに来ました。

「センセセンセ、キャベツみたいな虫がいる!来て!」「はぁ????」

それを思い出してお話したら、N先生「確かに!キャベツだ、レタスじゃない!」ですって(笑)

その場にいた業務主事さん、「車に翅の形がカッコいい大きな蛾がとまっていてさあ・・・」

「スズメガですね!」

「そうそう!写真と動画撮っちゃったよ」・・・いいですねぇ、朝からこんな会話!職場の皆さんに感謝です。

 最後にその場の皆さんにマメ知識をご提供。実は、大きな蛾は、一度翅を休めて一定時間以上経つと、「アイドリング」しないと羽ばたけないのです。街灯近くの壁や植物などにたかっている大きな蛾をつつくと、そのまま落ちるか、ぱったんぱったんとゆっくり羽ばたいて落ちるか、あるいは落ちた地面で翅をブルブル震わせながらウロウロし始めるか、なのはそういうことなのです。このオオミズアオも、私が階段から前脚をとっかかりに指にたけた時も、1回も羽ばたかず大人しく指先にとまっていました。踏まれてはかわいそうと近くの植え込みにたけ直し、数分後に撮影しに戻ると、ボディを小刻みにブルブル始めていました。さらに数時間後に見たら、いなくなっていました。元気で!

 

 こういったことが時折ありまして、内心悪い気はしません!私みたいな者にはありがたいことなのです。

 スズメバチが教室に入ってきたので助けて!もあります。大概、生徒は半パニック、先生たちも網や殺虫剤を持ってオロオロする場合が多いです。一応生徒には伏せて動かないように言い、教室を暗くして、窓を一か所だけ開けて、閉まっている窓は全てカーテンで覆えば、たいてい唯一開いている窓から出ていきます。ハチが窓ガラスまできてトラップ状態になっている場合、光に囚われていて襲っても来ませんので近くを開けてちょこっと開口部に向けてたたいてやれば出ていきます。(ここまで、真似されて事故があっても責任はとれませんので、お含みおきください。決して推奨はしてはおりません。)

 過去もっともおかしかったのは、前任校でわざわざ校舎内から呼びだされて校門に行ったら先人たちがみんなして「松本さん、ホラ!困ってるよ!」と校門下の用水の中を指さしていて、覗いたら白いニワトリがいた件ですね。