人文科ブログ

2022年4月の記事一覧

4月26日(火) 2年生 人文科探究個別指導担当者にご挨拶

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2年生 人文科探究個別指導担当者にご挨拶

 毎年、人文科の2年生40人程の全員を、担任あるいは人文科の教員(主任含め7人)がパワーポイントデータや論文の誤字脱字にいたるまで事細かに指導するのは物理的に無理があります。我々7人にも、通常の授業や部活や学年の仕事などがありますので。そこで、春日部東では、人文科生徒が2年生になると、各部署の主任級や進路指導で通年てんてこまいになる3年生の正担任を除く全教員に、お1人につき1名、面倒をみていただいております。

 これにつきましても、あまり負担を職員間に増すわけにもいきませんので、いただくご指導につきましては原則「生徒の言っていること、作ってきたデータ、書いてきた論文が」「分かるか、追加で調べたらいいことがあるか、誤字脱字はあるか」くらいとしてあります。我々が言うところの「探究論文」の体になるようには、砦として担任と主任が指導をするわけですが、例年、先生方には温かいご指導をいただいているところです。

 例年、先生方(同じ職場の同僚ですが、今回は敬称な感じで!)には、あらかじめ2年生各自が1年生の末まででなんとか立てた「研究のタイトル名」のみで誰を面倒見たいか希望調査をとります。今年も担任のG教諭が、一任も含めできるだけ先生方のご希望にそえるよう割り振りを行いました。さらには初回面談がこの26日火曜日7限に職員室でよいかどうか、ご都合により他に希望の時間や場所はあるか、調査を済ませております。

 7限開始後20分くらい。事情によりこの時間が都合がつかない先生方をのぞき、あらかじめ希望された職員室の自席や準備室や廊下の学習机などで、先生方が待ち構えています。心配そうに送り出す担任G教諭。いざ出発。

 

職員室入室組が、スムーズに入室できるよう/同線の邪魔をしないように、副担任のS教諭が(自分でも1人面倒をみつつ)ちょっと監督。

今日は元々自己紹介程度ですので、立ち話でなんとかするケースも。

春日部東には、廊下に面談や1対1での学習指導用に長机が豊富にありますが、職員室のある2階の長机はご覧の通り。

…さあ、次回にうかがう時は、研究内容のポスター発表会に向けて、ウィンドウズアプリ「パワーポイント」での資料作りが進んだ頃。個別指導では単に作ったものを見ていただくだけではなく、生徒は「アポイントの取り方」「礼儀作法」等も学ぶことになります。大切なことです。2年生諸君、頑張りたまへ。

 

 

 

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4月26日(火) 1年生図書館ガイダンス

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1年生図書館ガイダンス

 普通に図書館ガイダンスと聞くと、多くの高校で例えば国語の授業、あるいはLHRなどをうまく使って、図書館の使い方について説明を受けるようなイメージ持たれるかと思います。

 人文科の生徒にとりまして、しかしこれは特別重要な研修になります。先週の火曜7時間目は楽しいイベントでしたが、今日からはとてもまじめな期待・ワクワク「人文科探究」の授業です。何しろ論文完成までフルに2年間、いえ、調べものや読書や学習スペースの利用が習慣化されれば入試後の卒業式まで!!お世話になるのですから。論文完成まで上手に時間を使っていけるかどうかは、まさに今日ここにかかっているとも言えます!

 

 レジュメをそのまま掲載するのもなんですので、サブタイトルだけ記します。

1.はじめに

2.なぜ図書館を利用するの?

3.図書館資料の探し方

4.図書館資料の使い方

5.最後に

 これも毎回思うのですが、司書の方ってスゴイ!今回も非常にシステマティックな内容とプリントでした。普通科と同じ「図書館利用ガイダンス」の時と違って、今回は生徒が「人文科探究」を進めていくうえで、今後動いていきやすいようにと、特別版のオリジナルテキストを作ってくださいました。

そうそう、今年から、全体向けの画面と同じものが生徒各自のiPadに配信されました。

遠い人は手元で確認!

まずは「論文とはなんぞや」から入り、各自がテーマを決めるのに向けて「ネタ探し」の指南、そして書籍からwebサイトまで現代にある各種情報源の特徴や長所短所について学びました。

次に、図書館の本がそもそもどういった法則で整理され並んでいるのか。これを学ぶためのワークシートが面白い!自分が高校生の時もやってほしかったです!

 「日本十進分類法」!用語だけ言われて説明だけ受けても面白くありませんよね。

 そこでこのワークシート!中央に自分の興味があるモノを記入し、そこからまずは直接関係がある分野を10個から選び、そこへ飛びます。次に、飛んだ先の分野がさらに細かく分かれているので、自分が気になる小項目を選んでチェックします。次に、他にも関連がありそうな大分野を残り9つからさらに選び、それぞれで同じ作業をしてみます。

 「図書室の本って、こう並んでんだ~」

 次に、実際に該当の本棚に赴き、書籍を選んで手に取ってみます。

 一見、本屋さんで欲しい本を探すのと同じ作業ですが、ここでは「在りよう」をきちんと学んでの体験になります。実際、今後本屋さんで本を探すときに、レベルアップした探し方に結びつくといいですね。

 この後、各自最低1冊、気になる本をもってきて席に座ります。今度はその書籍の見方について学びます。

 人文科探究で多くなる書籍等の利用の仕方は、小説を楽しみながら読むようなものとは異なります。各自の論文について、自分で考えた「疑問(つまり課題)」に対する自分で考えた「仮説」が正しいと証明するための情報が載っているかどうか。そこからその本を利用するかどうかになりますので。

 キーワードが司書のS先生からでました。「ぶらぶらブラウジング」。ブラウジングとはパラパラ読みのこと。ネタ探しの段階ではそれでいいのです。中身を深く見る必要はありません。「タイトル」「表紙・裏表紙・帯」「目次・索引・参考文献」「はじめに・おわりに」といった情報をぱーっと見て、何の本なのかだいたい把握する。関係ないと思えば返し、関係ありそうと思えば借りる(買う)。図書室をなにしろぶらついて、んっと思った本を手に取りブラウジング。探究はここから始まります。

 とりあえず手元にもってきたら、スキミング(流し読み)やスキャニング(キーワード等の拾い読み)。これらもキーワード化して欲しいほくそ笑む・ニヤリすきすきスキミング、すきゃすきゃスキャニング…これは失礼しました。

 さて、せっかく何かしら興味がある書籍なりを手にしたのですから、これは是非記録に残したいところ。実際、記録に残さなかったがために、「絶対必要な情報なのに、アレ何の本だっけ?webだったっけ?」という状況は、ままあることです。ここでまた特別なワークシートの登場です。

 後々に、自分の論文に「参考文献」として引用したり情報を掲載したりしたい、と思った時のために、何をしておくべきか。今目の前にある書籍のどこにどういう情報があり、それをどう見て、どんな情報を記録すればいいか。ワークシートを埋めながら合理的に学びます。

 

大人の目に、充実した内容でした。これで初めての図書室での「人文科探究」授業は終わりです。あっという間ですね。「書籍を調べる」ゴールデンウイーク課題について私から予告して、終わりの挨拶。みなさんお疲れ様でした。

号令後、各自の「図書室利用カード」が配布されました。早速利用して、正式に書籍を借りる生徒もいました。

「俺のな~い」「あったあった」

 

 

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4月19日(火)人文科対面式

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人文科対面式!

 時間帯としましては、「人文科探究」の授業がある7時間目。今年度は普通科も火曜日の7時間目は授業があります。たまたまですが、この日、人文科は楽しいレクリエーション的な時間になりました。

 対面式と言いましても、昔はいわゆる対面式の形だったそうですが、ここ数年はいわゆるアイスブレイキングアクティビティーを実施しております。その名も

「じんぶんとーくりんく」!

 1年生、2年生、3年生それぞれ2名程度からなる班を16班作り、班活動でゲームを行います。各班のテーブル中央に、裏に質問の書かれたカードを積み、順番を決めて1枚ずつめくり、裏に書かれた質問の答えを班内に発表していきます。ルールはそれだけなのですが、質問内容は…

 ●今、思いつく四字熟語を言ってください!

 ●最近、ちょっとうれしかったことはなんですか?

 ●春日部東高校のマスコットキャラクターの名前はなんですか?

 ●左となりの人を3つほめてください!

 ●3つ前の質問と答えは何でしたか?

…といった、回答者が即答しにくく、かつ答えられた内容や答えにくい状況自体を楽しめるゲームなのです。

人文科は普通科よりも先輩後輩が交流する場面が多いので、その第1弾となります。

 

 ここでちょっと正直に。イレギュラーがありました!今年度、諸般の事情により、なんと2年生がピンポイントで学級閉鎖に!!誠に悩ましいところでしたが、検討の結果、その後の人文科探究の年間予定もきっちり考えられて埋まっていますし、残念ですが2年生はリモートで様子だけみてもらう形での参加となりました。

 会場につきましても触れておきます。コロナ前は、食堂を借り切って120人を1部屋にいれて行っていましたが、コロナ禍では密をさけるため、人文科フロアである本校3階にて4部屋に分かれての実施となっております。またコロナ禍の間に本校ではIT機器が一気に普及しましたので、リモートで4部屋をつなぎ、互いに互いの部屋の様子もタブレットからプロジェクターで映写しつつの4会場実施となります。それでは様子をご覧ください。

(※司会をしてくれた3年生の画像がありませんでした…もうしわけない)

 

①まずは主任こと私からリモート中継でご挨拶させていただきました。

 1年生:人文科へようこそ、いよいよ2年間にわたる「人文科探究」が始まります!

 2年生:素敵なパワーポイント資料による「ポスター発表」と、研究対象の「論文化」、楽しみにしています。

 3年生:自分が担任をして目の当たりにした「卒業後の進路に向けて、考え、悩み、前に進み、実現する格好良さ」、きっと今年も見せてくれるものと楽しみしています。

②次に、3年生から代表のご挨拶です。

 今年は代表者は2名での登場。いいじゃないですか。この程度の行事ですと練習も何もありません、こういった係になる3年生にはぶっつけ本番で負担をかけてしまいますが、まあきっちりキメてくれること!流石3年生です。もちろん画像の無い司会の3年生も、もともと2年生が司会だったのですが主席停止ですから、急遽お願いした形ですが、最後まで完璧でしたね。

③ここでいよいよ「とーくりんく」の開始です。挨拶関係のリモート中継はいったん終了(互いの様子だけ流します)。司会がスクリーンから各会場の3年生の「リーダー」に振ります。部屋ごとにリーダーが初めての1年生に分かるようにゲームの説明をし、いざ開始。

 いきなりゲームもなんだか変なので、始めに軽く自己紹介したり、1枚目を答える前に自己紹介したり。そのあたりはもう、各班の3年生がやさしく1年生を引っ張ってくれました。

 各班、積まれたカードが無くなるまで、ゲームを続けます。それぞれの回答に追加で質問したりコメントしたりと、うまく場を盛り上げて、だいたい各班20分かからないくらいでカードの山は無くなりましたでしょうか。その先は、時間まで自己紹介を詳しくやり直したり、もう1週始めたり、先輩が人文科のことを楽しく紹介したりと、上手に時間を使い切ります。シーンとなる班は1つもありません!

④なんだかんだとあっという間に終わりの時間。まずは1年生の代表にご挨拶をもらいます。

 これがまた!何も見ないで、硬くもならず、かつしっかりした挨拶をしてくれました。

 こうした挨拶は、必ずしもきちんとやれるものではない、当たり前ではないと私は思っております。素晴らしい!今後の活躍が楽しみですね!

 

 2年生の現場不在は残念でしたが、今年度も多々あるであろう「突然の困難」もしっかり乗り越えて、生徒の皆さんには、あってよかったと思える時間を過ごしてもらいたいです。

 

 

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4月15日(金) スプリングセミナー! (後半のレポートです、前半必読でお願いします★)

2時間目「ワークショップ①」

 時間枠はワークショップということにしてありますが、前半は「探究0」の続きです。

①SDGsガイダンス

 本校人文科におきましては、一昨年から探究活動にSDGsの視点を導入しています。

 こだわりすぎると、せっかく柔軟に探究活動を進めていきたいところ、生徒たちが研究テーマとして日常の疑問をリストアップするのに圧をかけてしまいかねません。ですので、自らかかげた疑問が、SDGs17項目で言うとどれに該当しそうか、はっきり該当したらいいね!モヤッとしか該当しなくても、それはそれでいいのですよ、というレベルにしてあります。とは言え、現代社会、いや世界が抱える問題は視野には入れてほしいですし、逆に現代に生きる者として関心を持たなくていい、ということはありません。初日に是非触れたい話題です。

 M(ミレニアム)DGsの段階で問題だった世界の共有度を改善し、「誰も置いていかない」スタンスで「持続可能な開発目標」を国連が2015年にかかげて、8年経ちました。達成目標年は2030年、残り8年です。世界が抱える闇を垣間見てみましょう。

  私こと(新)人文科主任が、探究0にてまず提示した問題は、「核」です。理由は、人類(いえ、地球の生態系)滅亡の原因にもっとも近い話題でありながら、実情は特定の場面でしか人々が話題にしないからです。保有国のもつ核兵器はもちろん…威力が広島級の6600倍という水爆すら、かつて大気圏内で爆発実験が行われており、日本ならば4、5発で滅ぼしきれる…核戦争になったら地球はいったいどうなってしまうのか…といったことも心配ですが、何の変哲もなく思える日常生活に深く関わっているのが原発問題です。我が家は映画が大好きで、多種多様な映画を見てきましたが、まずどんな「地球規模の災害パニック映画」や「感染型ゾンビパニック映画」にも、いま現在世界に無数にある原子力発電所がその災害でどうなるのかが描かれていません。現実は、「地下に作ってしまった発電施設に津波が入っただけ」で、福島第一原発のあの惨状です。あれを完全にナシにするには、はれ物に触るようにして数千年かかる、という表現も見たことがあります。数千年後に日本という国は存在するのでしょうか…

 この件は口頭で投げかけるだけにして、つぎに再びiPadの出番です。次の用語を検索して、少し見てもらいました。ブログ読者の皆様も、よろしければ是非検索してみてください。

 ◆「温暖化が北極圏を壊していく」

 ◆「中国河川汚染」(画像検索)

 ◆「プラゴミでできた島を国に?」

(◆時間の関係で割愛したのでブログ用ネタ「ファストファッション/南米、衣類廃棄」)

 どれにも、凄まじい情報が見て取れます。それでも、SDGsで掲げる17項目で言えば、環境問題系のいくつかなだけです(情報が事実かどうかの問題は「メディアリテラシー」のコーナーで。)。ただし、17項目はそれぞれ単独に存在するわけではなく、ほとんどが相互に関わっていることもポイントですね。

 単純に、どうやら私たちの生きる世界は、かつてないほどのとんでもない闇を抱えている、ということが見えてきました。それでも、私たちはこの世界で、存在する今の時間を、そしてこれからを、生きていきます!しかもできれば楽しく!そのために、そして子々孫々が存続していけるように、やっと、やっと世界が手を取り合って現実に目を向け始め、間に合うのかおそばせながらでも一歩踏み出した、その表れがSDGsと言えます。

 でも、まだ話題にしなければならない大問題があります!

 1つは、そう、新型コロナです。自然が好きで、自然保護に少々偏った感覚を持っていた私などからすれば非常にショッキングなことなのですが、まさか、経済というものが人間にとってこれほどに重要なものだとは…この2年間、それをマザマザと見せつけられました。SDGsの前進にとっては大打撃ですよね。

 と思っていたら、2つ目は、ロシアのウクライナ侵攻です。教育公務員ですので政治的な意見は申し上げませんが、単純な事実として、やはりこれも大打撃です。歴史の教科書に載るはずの、大型隕石衝突級の事件のダブルパンチ。おおおぉ…、なんということを…

 以上、私たちが「今」生きている世界のことです。私は、生徒たちは、皆さまは、どうしましょう/どうしますか?

 

 今、やれること、やるべきことをやる。本校人文科の生徒は、高校生として、春日部東高校人文科生徒として、健全に「探究」活動を進める。そして、その中で進めた研究が、もしも何かの形でSDGsに貢献できたら、それは素晴らしいことですね、と。はっきりSDGsに分類しにくい、例えば前半に出した「幽霊」のような研究でも、例えばもしも高校で生徒の間で「幽霊騒ぎ」が起こって、それが健全な学校生活に支障をきたすような状況になった時に、思い込みや固定観念の外側から多角的視点で論じた根拠によって、生徒あるいは教育環境に安心材料を提供することになれば、人の役に立ったことになります。最小単位でいけば、研究した内容を誰かが「ふーん、へええ、そうかぁ」と思ってくれたならそれで充分です。探究活動は論文を1本完成させて終わるものではなく、探究マインドを育んで、それをもって歩む人生の中で世界と渡り合っていくためにやるのですから!

 

②メディアリテラシー

 1時間目に提示した、情報の海をうまく渡っていくためのもう一つの指標です。

 まずはiPadで用語検索。の前に英語のお話をしました。

 ◆media (仲介)マスメディア、マスコミ ※mass 塊、大量の~

 ◆literacy 読み書き能力

 ◆派生語:literal文字通りの literally文字通りに literary文学の literarily文学的には literature文学 etc

 

 …共有したのは、コトバンクのブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より、「メディアリテラシー」の解説です。

メディアリテラシー media literacy : メディアの特性を理解して使いこなす複合的な能力。(中略)情報がもたらす影響を予測する能力,双方向コミュニケーションにおけるいろいろなトラブルを処理・回避する能力などである。(後略)(是非、検索してみてください)

 …世の中に溢れる情報は、全て元は誰かが発信したものであり、「誰か」が人間である以上、発信された情報には「間違い」や「悪意」は必ず存在し得ます。今回のウクライナの件で、「プロパガンダ」という用語も頻繁に耳にするようになりました。また当然、情報を受け止める側にも「間違い」や「悪意」は存在し得ます。「炎上」というワードもすっかり新しい用語という感じはしなくなりました。

 ちょうど、SDGsの時間に検索してもらった「温暖化が北極圏を壊していく」ですが、これで共有したあるサイトは海外のビジネスマン向けのもので、非常に「ちゃんとした」サイトに思えます。ところが、そこにある1つの情報に、 

◆グリーンランドと北極の氷床を合わせると、地球上の真水の99%以上を占める。

という一節があるのですが、私の認識では、北極の氷は海水を多く含む氷で、南極の氷は大陸に乗った真水の氷、のはずです。これはどういうことでしょうか。このサイトを日本語に翻訳する係が、ArcticとAntarcticaを間違えて翻訳したのか、それともこの一節自体が「間違い」なのか、「私が間違っている」のか。

 こういったことはしょっちゅうあります。私は自分の興味関心から生物系の情報を頻繁に検索・閲覧しますが、そこら辺の方々がほいほい自由にアップした個人的なサイトは、はっきり言って間違いだらけです!その上、由緒正しそうでも、例えば各新聞社には各新聞社の、各放送局には各放送局の「カラー」や主義・方向性があります。政府には政府の、そして私にも「春日部東高校人文科に前向きな興味を持った中学3年生が大勢受験しに来て倍率を争ってほしい」という意図がありますあしからず。受け止める側は、誰がどこで発信した情報で、それをどこまで信用するのか、特に探究活動においては気を付けたいところです。

 そこで、入学当初に生徒たちに注意ですが、メディアリテラシーの一環で、情報はできるだけちゃんとした書籍から得るように、と伝えました。情報発信元があやふやな雑誌類や、不特定多数が上書き可能な「まとめサイト」等は、探究活動においては信頼度が低いのだ、と。

③「じんぶんしんぶん」作成に向けて

 ここからやっとワークショップです。

 「じんぶんしんぶん」とは、ここ数年、人文科で壁新聞を作成する際に使っている仮名称です。授業では過去に先輩たちが作成した実例をいくつか示しました。

 始めに、人文科探究初回で壁新聞を作る意味を紹介します。皆でテキスト「学びの技」の8ページを見ました。そこには「探究学習のステップ」が円状の図になっているのですが、ここでは箇条書きにて紹介します。

 New

 → 周辺知識を得る (好奇心を持つ。興味深いアイディアを発見する。)

 → 議論(問い)を決める (多角的に見る。)

 → 情報を収集する (重要な情報をさらに集める。)

 → 情報を取捨選択する (不要な情報は捨てる。)

 → 論理的にまとめる (集めた情報を意味付ける。)

 → 発表する (学びを共有する。)

 → 評価する (最終成果と探究過程を振り返る。)

 → Next (次の研究へ)

…壁新聞作りは、2年間かけて大きく一巡する予定のこの流れを、ダイジェスト版で体験できるのです。

「なので、3時間目から5時間目にかけてやるワークショップ「じんぶんしんぶん」作りは、そのつもりでやってください。」

 次に、各班に同じ日付の新聞4社分を配布し(春日部東では全教室に毎日4社分の新聞が配られますので、予約の上、1、2年生の教室から前日分をいただくのですピース)、その中から私のほうで1社選び、各班でそれを中央に置き、全員で共有しました。そして、1面から注意深く、全体の構成や記事以外の記載情報、記事が下段に飛ぶ際の書式などを、改めて観察してみました。せっかくですから、「号数を365で割ると、だいたい何年くらい続いている新聞かわかる」ことや、「全く同じ日付・時間の新聞でも、工場で膨大な部数を刷っている間に新しい情報が追加されるので、版数を見ると何回情報が刷新されたかわかる。初回が12版となっているので、14版であれば同じ新聞でもすでに2回情報が新しくなっていることがわかる」などの豆知識も紹介しました。

…主任の出番はここまでです。3時間目からは、いよいよ担任のT教諭の登場です。

 

3時間目~5時間目「ワークショップ②③④ じんぶんしんぶん作り」

 本校勤務2年目のT教諭、実は、同僚として初めて授業を見させていただいたのですが、正直「うまいなこの人!と思いました。

 まずは、担任ならではの「入学当初アンケート」ネタで巧みにモチベーション作りです。

まだ互いに慣れていないクラスメイトと話し合ったり発表し合ったりすることへの準備として、そうきたか!これは面白い切り口!

 次に、ここから3時間かけてやる壁新聞作りの、流れの説明です。

ざっと紹介します。

①まず各自で自分の興味のある記事を探して切り取る。

②SDGsに関連があればSDGs付箋、関連が良く分からなければ普通の付箋を貼り、コメントを記入する。

③次に、班内で自分の選んだ記事についてミニプレゼンをし合う。

④編集会議を開き、班ごとの壁新聞の名称を決める。

⑤自分たちの新聞の方向性も含めて、各自が選んだ記事のどれを採用するか話し合う。

⑥掲載する記事が決定したら、各自が納得できるように全体のレイアウトを決める。

⑦実際に糊付けする。

⑧仕上げに、模様や写真、ロゴ、コメント、追加記事などを加えて充実させる。

⑨班内で壁新聞のプレゼン練習をし、他班へ発表する際の主旨を共有する。

⑩担任のタイムキープと全体4回のローテーションで全員が1回ポスター発表する。

⑪プレゼンを聞いたりやったりした反省点や気づいた点をiPadに記録する。

…ところどころに入るアドバイスも含め、ツボをおさえた明確な説明のお陰で、生徒たちは初めての活動をスムーズに行えました。発表に際してはテキスト「学びの技」からポスター発表の上手なやり方・受け方をさらい、私がここ数年見て来た壁新聞発表の中では一番うまくいったように感じました。発表が聞き取りにくい場合に、口頭で言わなくても聴衆がちらっと提示して発表者が気が付いて改善できるようにと「聞こえません棒」というツールも全員に持たせるのですが、それを使う場面は見受けませんでした。

まずは、各自、興味のある記事を探します。

次に、班内で自分の選んだ記事をプレゼンし合います。

編集会議の様子です。

 自分たちの壁新聞のプレゼン練習です。

班ごとに新聞の主旨や限られた時間で紹介する内容の共有をしました。

そして、いよいよ他班の人の前で、自分の班で作った壁新聞をプレゼンします。

 それにしても、生徒たちが凄い勢いでiPadに入力しまくるコメント等が、全て担任のタブレットで随時見られるという…なんともはや、な時代ですね。

…こうして、3時間分の「じんぶんしんぶん作り」は大成功でした!了解

さあ、2年間、探究活動をおおいに楽しもう!

 

6時間目「OGOB講演会」

 最後は恒例の「人文科卒業生のお話を聞く」時間です。

 今年は、A君、Bさん、Cさんの3名が参加してくださいました。

 A君とBさんは大学2年生、Cさんは私のクラスを卒業したばかりの1年生です。皆様、履修登録あるいは初回授業の時期で条件の厳しい中、ご参加くださいました。実際、A君は大学の授業に行くため、少しだけ早めに帰られたくらいです。

 Cさんですらもう高校を卒業したばかりとは思えない大人ぶり、2年生のお二人にいたっては(実は)私が副担任をしていた4年前とは別人でした。私事ですが、こうした生徒さんたちのその後の成長ぶりに触れられるのがこの職業の醍醐味の1つでございます。

 御三方にはまず、現在の大学生活の様子を紹介していただきました。それから、高校時代にやっておけばよかったこと、また「人文科あるある」とアドバイスをいただきました。

 A君Bさんは、今となっては大変貴重な「人文科海外研修でオーストラリアに行ったことがある」人材でもあります。コロナのせいで、すでに3回分の海外研修が中止を余儀なくされていますから。前主任のアドバイスもあり、後半はA君メインで当時の様子を新入生に紹介していただきました。

 最後にBさんCさんに、生徒たちがあらかじめ考えていた質問群からいくつか選び、思うところをコメントしていただきました。特にCさんの在学中の苦労は私も担任としてある程度知るところで、彼女なりに必死で考え踏み出したり後退したりしながら乗り越えてきたことを思い出し、感慨深かったです。

 

 毎年のことですが、卒業生の言葉には、我々教職員とはまた違う重みと実感があり、当然ながら現役生は食いつきます。大変有意義な1コマとなりました。お2人の退室をお礼の挨拶と拍手でお送りした後、生徒たちは時間まで1日の感想・反省を入力し、今年度のスプリングセミナーは幕を閉じました。

(主任も担任も「ホーっ!急ぎ」)

 

 

 

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4月15日(金) スプリングセミナー! (前半のレポート、後半もこうご期待)

 去る4月15日(金)に、今年度初の人文科独自行事、新入生対象の「スプリングセミナー」を、無事実施できました。

 かつては、加須元気プラザにて1泊2日で行っていたものです。新型コロナの影響もあり、また規定により全員参加の宿泊行事は年に1回まで、ということもあり、宿泊の可能性を春に残すか夏(サマースクール)に残すか考えどころ…ということもありますが、とにかくコロナ初年度は中止、そして昨年度は1日のみで校内実施、今年度もやはり校内実施で1日のみ、でした。

 目的を考えれば、「学年に1クラスしかない学科の新入生として、学習や生活をどのように進めていくべきか、ここで意識を高める」ことももちろんありますが、一番は、やはりこれから2年間学習していく「人文科探究」のオリエンテーション、ということになります。

 

それでは、実際にどのような6時間であったのか、簡単にですが追体験してみてください!

 

ようこそ人文科へ! 「令和4年度 人文科1学年 スプリングセミナー」

★1時間目「校長挨拶」「学年主任挨拶」「人文科探究0(ゼロ)」

1.校長挨拶

 校長からは、現在学芸大にお勤めで、かつて本校人文科1期生で、実は校長が当時本校で部活で面倒を見た方と、少し前に仕事上でやり取りする機会があり、そのことでその方から届いたお礼のお手紙についてのお話でした。その方が、校長は記憶も遠く薄れてしまっていた当時の「選手紹介のプリント」を数十年も大切に保管しており、それを今回お手紙に同封してこられ、感激し感慨深かった、といったお話でした。

本校46期生、人文科では29期生の人たちにも、こういった温かい「一期一会の再交差」があるといいですね。

2.学年主任挨拶

 学年主任のN教諭からは、本校人文科で実施している教育内容が、現代を生きる者に絶対に必要な力を育ててくれる内容であり、普通科でも(諸条件が可能なら)やりたいくらいだ、といったお話をいただきました。

 ただでさえ高校生活が始まったばかりで不安があるでしょうし、さらに人文科ということで、これからの3年間に水面下で大きな不安を抱えている生徒は存外多いのではと推測します。そんな生徒たちにとって、大変に励みになるお話でした。

3.人文科探究0

①人文科学とは

 いよいよ、新米人文科主任の出番です!

 ここから5時間目までは、「班活動」としました。4人1班で8班作りました。

 

 じっくり導入します。せっかく珍しい名前の学科に入学したのですから、まず始めに「人文科学」という用語について調べてみました。今年の新入生から、全員がiPadを持っています(!)。インターネットで「人文科学」という用語を検索し、「コトバンク」というサイトの情報を共有してみました。それによると(簡単には)…

★科学を3つに大分する場合… 「自然科学」「社会科学」「人文科学」となり、人文科学は「哲学、歴史学、文学、言語学など」を含みます。

★科学を2つに大分する場合…「自然科学」「人文科学」となり、社会学、経済学、政治学、法学、教育学などから哲学、文学、芸術学、歴史学などの広い分野にわたる学問を含む、とのことでした。

 …このことから本校人文科のカリキュラムを考えてみますと、確かに人文科学に属しそうな教科、英語・国語・地歴公民のいわゆる文系科目が大変に多いです。そこでしかし!それではただの文系じゃないですか、と。(うなずく生徒たちグループ)そこで!満を持して学校設定科目「人文科探究」の登場なのです!

②人文科探究とは

 次に、なぜ春日部東高校の先人たちは、ただの文系特化ではなく、人文科探究という科目を設定し、人文科という学科を設置したのでしょう。どんないいことがあるのでしょうか。

 ここで再びiPadの出番。今度は「探究」という用語を検索してもらいました。

 ・物事の真相・価値・在り方などを深く考えて、すじ道をたどって明らかにすること。

・思考によって論証したり問題解決を図ったりすること、あるいは、論証や問題解決のために深く思考すること。

 ふむふむ。 

次に、ここ数年、教科書的に使っている書籍「学びの技」(玉川大学出版部)の登場です。

 まず始めにこの本の12ページ「column 存在しない職業」を読んでもらいました。

簡単に内容を紹介しますと、アメリカで2011年に小学校に入学した子どもの65%は2027年に当時存在しなかった新しい職業に就くだろう、根拠として人類史上、文化の移り変わりとともに古い職業の消滅と新しい職業の誕生が繰り返されており、現代でそのカギとなるのは人工知能(AI)であると。AIが1000字の内容を50字に要約することができる段階まで進めば、影響を受けない(つまり職を失う心配のない)事務労働者はいない、とのことです。

 個人的には、人が社会生活を送るために職業が存在しており、いくら限定場面的に便利な技術革新であっても、AIのような形で無数の人々から生きるすべを奪う技術なら本末転倒、ITも脳や体が発達しきる前に使いすぎると、それらが十分発達しないままになる、つまり人類のアナログ能力は今後どんどん退化する、と思っています。それでも実情は、デジタル化の波から降りることはできず、これからの生徒たちはその時存在する時間の中でこの世界に居場所を確保していかねばなりません。

 さて、p12には、答えも紹介されています。 → このような事態にどう対応すればいいのか、その答えが「探究学習」にあります。問題発見能力、その問題の解決に必要な情報の収集・分析・活用、論理的思考や創造的思考をもって問題にあたる能力…こういった、当面の間、AIがとうてい及ばぬ力を、探究学習では育めるのです!!

  次に、4,5ページ「Did you know?」を読んでもらいました。「2007年に、アメリカのある教師たちが、生徒たちに現代社会の移り変わりの激しさを実感させ、生き方を考えさせるために作った動画」の一部を紹介する記事です。そこには「2006年にインドの大学を卒業した人の英語を話せる率は100%」「英単語の数は54万語を超え、これはシェイクスピア時代の5倍」といった事実がいくつか紹介されています。ブログ読者の皆様はご存じでしたか?私は知りませんでした。

 物知りと思われる人々も、確かに常人よりはるかに知識量は多いかもしれませんが、この世界の全てを考えれば、「知っていることに関して知っているだけ」とも言えます。どれほど多くの知識を持っていても、持っているだけなら電子辞書でいいわけでして、上記の黄色マーカー部分のような力、つまり「探究力」は絶対的に欲しい。しかし、たくさん知っていることは悪いことか。それは違いますね。知っていることは多い方がいい、というのも否定されざる事実。インターネットやSNSによって、かつての世界とは比べ物にならないくらいの膨大な情報の海に、我々人類は泳ぎだしました。この海の旅は、常識情報、不要情報、ゴミ情報や危険情報の中から、「探究」に役立つ「自分の興味にかなう情報」「問題解決に役立つ情報」、お宝情報になりうる情報を探す旅のはずです。

 「探究」するために「情報を探す旅」に出るには、道しるべも欲しいところですね。「探究0」の授業でかかげるヒントは「情報リテラシー」「多角的視点」です。1時間目の時間はあと10分。情報リテラシーは予定通り2時間目に紹介するとして、多角的視点というものを、ギリギリでしたが体験してもらいました。

「幽霊の存在を否定してみてください。その際、今まで聞いたことのない理由が大歓迎です。」

  これは、各班、少し盛り上がりました。本当は各班の意見を聞いてみるつもりでしたが、時間が少々おしました。本来は「幽霊」という用語の定義も必要なのですが、割愛しました。それはおいおい学んでいただきましょう。

 「幽霊は実在するのだろうか」という「問い」に対して、私の「仮説」は「いない」です。個人的にオカルトは決して嫌いではありません。いるならいてもいいと思います。(時間制限のないブログ用のネタですが、私の母は私が小学2年生の時に亡くなりました。その母の若いころの写真を遺影として仏壇に飾っています。私の娘がようやく言葉を発するようになったころ、誰も教えていないのにこの遺影を見て「おばあちゃん」と言いました。赤ん坊の頃、仰向けに寝ていて、誰もいないところを凝視してケタケタ笑っていた、アレは亡くなった母が遊びにきていたのか…なんて…)しかし、私が自分で考えた大きく3つの根拠は、これまで誰からも聞いたことが無く、「多角的視点」ということにおいて自信があります。生徒たちに披露しましたところ、まだ生徒たちは静かにしている時期ですので、少しウケました!そしてそれらによって、どうやら幽霊の存在は強力に否定できそうです(けっこうとっておきのネタですので、ブログでは秘密です!もちろん、幽霊を検証する書籍があれば出て来るでしょうけど…中学3年生のみなさん!春日部東高校人文科にてお待ちしております!!)。

 この根拠から、仮説の証明に使える参考文献の分野は「脳科学」や「心理学」と言えそうです。そうなれば、それらの書籍を図書室を中心に探し、書籍の中に「ほら!」と使えそうな情報があれば正しい作法で引用して、学術論文の書式で論文を書く。「そういったことを皆さん2年間で体験するんですよ!」というところで1時間目終了です。(休み時間に盛り上がる生徒たちグループ

続く!

 

 

 

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