人文科ブログ

2022年10月の記事一覧

10月11日(火) 1年生「SDGs関係(地球カレンダー)」 2年生「論文査読会」

10月11日(火)。 特に2年生では似たような見た目の授業が多くなる2学期ですが、今日の探究授業は1年生・2年生とも、少し内容的に動きがありました。

 

1年生「SDGs関係(地球カレンダー)」

 久しぶりに主任の私が主導でやる授業です。

 SDGsにつきましては、数年前に「視点を取り入れる」という表現で学習機会を設け始めました。生徒にとりまして、探究論文作成に向けたテーマの設定時にあまりSDGsにこだわりすぎますと、自由な発想が制限される恐れがあります。人文科としまして、まずは単純に「疑問→仮説→論証→結論」の流れを自ら設定すること、それについて手順を踏んで研究し論文にすること、この流れをスムーズに体験することを優先しまして、実情は「後付けで」自分の研究はSDGs17項目のどれに貢献できるか考える…くらいの強さでやっております。

 一方、SDGsそのものは、現在の地球に生きる人類として、あらゆる場面で考えてゆくべきことのはずです。この世界の傷み具合は、学校の全科目で前面に押し出して扱ってもおかしくないレベルと言えます。できれば探究授業年間計画に定期的に入れたいくらいの内容ですが、実際の計画では(当然でもありますが)論文作成に向けた流れを最優先としています。とりあえず今年度は、授業スタイルで扱うチャンスは授業内容が予定より進んで空けられたところや、予定の内容を別物に変更をせねばならないところになります。今回は1年生の授業が進んだので空けられたコマというわけです。

 SDGsは国連の考える「持続可能な開発目標」ということで、その17項目は人間の開発分野全般にわたりますが、そのうちの半数近くが「環境問題」にかかわる分野です。

 たまたま、主任の私は三十数年前(人文科ができるずっと前)にこの母校で2年生の頃に、とあるきっかけから環境問題に興味を持ちました。その後、大学は学部こそ英語ですがゼミは「英語で自然について考える」ゼミをとり、環境問題への関心を深めました。就職活動で教員を目指したのも「生徒たちに環境について伝えたい」と考えたからでした。そのあたりはカミングアウト的な話がまだあるのですが、ここでは割愛します。

 さて環境問題と一口に言ってしまうと分野が大きすぎて、まとめる際の立ち位置もしっかりせねばなりませんが、今回ははっきり環境問題に特化して話す初回、と考えますと、私としましては「問題」以前の「本来」をまず知ってほしい、普段何気ない瞬間に本来の環境そのものの「偉大さ」「存在自体の奇跡さ加減」「脆弱さ」に思いを馳せてほしいと考えます。

 「地球は、太陽系の中で、どのように惑星になったのか」

 「地球の地殻は、大気は、海は、いつ頃どうできたのか」

 「最初の生命の誕生する条件はいつ頃どう整ったのか」

 「酸素は何者がどう生み出してくれたのか」

 「オゾン層はいつ頃どういう経緯でできたのか」

 「私達生物はどういう経緯で進化し今こうしているのか」

 ・・・つまりは我々が今現在、生命としてこの惑星に存在できる根本的な条件は、何のお陰でどのように整ったのか。そして私たちはどこから来たのか。こういった、ある意味「環境の下地に関する一般常識」とも呼べる知識をまずしっかり確認したいと思いました。

 そこで、このために自分でも初めてワークシート化したネタが「地球カレンダー」です。ご興味のある方は是非検索してみてください。これは、地球の誕生から現在までの歴史・・・46億年と言われていますが、この46億年の間に起こった出来事を、1年間365日のカレンダーに換算して当てはめると、何月何日にそれが起こったか分かる。つまり長すぎて見当もつかない46億年そのままで理解するのではなく、長さの検討がつく12か月365日に直して出来事の間隔やタイミングを把握できる、そういうカレンダーです。

 実はだいぶ前にすでに、A3判の紙2枚に365日を入れ込んだプリントは作ってありました。今回はこれをA4判1枚に1か月、全部で12枚、プラス12月31日のみを24時間に直したら何時何分に何があったのかで1枚、計13ページ(両面印刷で枚数は半分)のワークシート束に仕立てました。カレンダーの中の主だった出来事は、全消しか空欄を設けました。元旦から順番に、途方もない出来事については想像しやすいようにプロジェクターで例の画像を示しながら説明していく、という授業です。

 ご想像通り、11月から急に出来事が増えますが、6月まででも重要な出来事はあるにはあります。設けた空欄を全て埋めてもらいながら時間内に全て話せるか、ぶっつけ本番で時計を見ながら必死で、でもなるべく分かりやすく面白くトークしました!結果としましては少しだけ時間オーバーしましたが、なんとか伝わりましたでしょうか。

次の恐竜(厳密には恐竜と呼ばれる動物群の登場するずっと前の生物)のスライドを写した写真に、偶然いいものが写り込んでいました。

授業中に唯一「本物」の例として副担任の先生にお願いして見せて回ってもらった鉢植えです。

写真では黒いモシャモシャにしか見えませんが、実際は箒の先のような形態で鉢から立ち上がっています。

「マツバラン」という植物です。

ちなみに鉢の左わきに黄緑色のワサワサが見えますが、この部分は勝手に生えてきてそのままにしてあるシダ植物2種類、です。

 11月27日!海の中ではすでに魚類までが進化し繁栄していましたが、この日より2億年ほど前…もとい、2週間ちかく前の11月14日からオゾン層が形成されはじめ、UV対策など色々と準備が整い、27日にようやく植物が上陸に向けて動き出します。まずは浅い海や河口に藻類が、そして次に湿地帯にコケ植物がじわじわと上陸!といっても湿った環境までです。動物はまだです!

 11月28日!植物が(はっきり)初上陸!

 この、今より4億年ちょっと前…もとい、「大晦日の現在から1か月と3日前」に初めて上陸した頃とほとんど姿を変えずに現在まで生き残っている「生きた化石」が「マツバラン」の仲間です。一応、広義にシダ植物と分類されていますが、これはかなり大雑把な分け方で、動物でいいますと魚から私達哺乳までまとめた「脊椎動物」と、「エビ」だの「貝」だのまで、ほとんどの動物をいっしょくたにしてしまうくらい適当な分け方です。もうすでに授業では全然そこまで話していない「ブログネタレベル」になっていますが、ここだけ!古い植物の分類の入り口だけ!ちゃんとすると「古マツバラン門」「ヒカゲノカズラ門」「トクサ門(ツクシの本体のスギナがいるグループ)」「ハナヤスリ門」「シダ植物門」etc…となっております。このリストはだいたい歴史上も上陸ないし進化してきたグループ順ですので、「コケより進化しているけど、コケを超える中では一番原始的な植物」であるマツバランは、体の構造もかなり変。土中部分を掘り出しても、まともなシダのようにはっきり根と呼べそうなものはなく、ウネウネと茎らしき構造が這いまわっているだけなのです。葉っぱもないし。11月28日の陸にはこんなヘンテコな草ばかりが繁茂し、12月3日に大森林が陸に発達するころの植物もまだほとんど「シダ植物門」まで。現在の森や草原とは、ぱっと見の印象もまったく異なる事でしょう。ツクシの化け物の大木が林立していたりとか、想像するとロマン以外のなにものでもありませんね!

 唯一の実例を取り上げましたらついつい述べすぎてしまいましたが、この授業のしめくくりを記載してむりやり閉じます。

12月31日午後11時37分・・・現生人類ホモ・サピエンス登場

12月31日午後11時58分52秒・・・農耕牧畜開始(1万年前)

12月31日午後11時59分46秒・・・キリスト降誕

12月31日午後11時59分56秒・・・ルネッサンス

12月31日午後11時59分58秒・・・産業革命

12月31日午後11時59分59秒・・・20世紀が始まり終わる

・・・私達人類は今、地球の歴史上何度もあった寒冷化と温暖化の繰り返し、生物の歴史だけで考えてもかつて何度となくあった大絶滅、そのどれとも違う形で、「秒」で地球を暖め、最速で種の絶滅を進めて、破壊しているというわけです(白亜紀後期恐竜大絶滅すら、1種の減少開始から絶滅までの所要時間は、平均で1000年かかった、という説もあります)。46億年かけて整ったものを、です。生物として言えば39億年かけて、複数回の巨大隕石激突すら乗り越えて、白亜紀終焉とその後の氷河期から今に至る安定期だけで言っても1億年近くかけて整った生態系を、です!!SDGs!待ったなしです!本当は世界のすべての国と地域で一丸となって取り組むべきです。争っている場合ではないはず!

 次回のSDGs関連授業では、かつてのアメリカ副大統領アル・ゴア氏による「不都合な真実」を使いたい(=DVD視聴)と考えています!

 

 2年生「論文査読会」

 とうとうここまで来ました!大きな段階です。1学期のポスター発表までの研究内容を、夏に苦労して文章化して、今ひとまず入力し終えました。この論文を一旦プリントアウトし、数人でグループを組んで回し読みします。誤字脱字や表現の間違い、文法の間違い、書式等の間違いはもちろんのこと、論の展開が今更ねじれていないか、論証部分はちゃんと仮説が正しいと読者を納得させられるか、あるいは追加しうる根拠やそのために調べうる新たな項目があるかどうか。文献からの引用や参考文献のリストアップは決まり通りにできているか。

 

  この後間もなく、2年生は久しぶりに「個別指導担当」の元へ、現在のベスト版論文をもってアドバイスを仰ぎに行くことになります。中間考査と修学旅行の後は、査読会と個別指導で挙がった改善点を削ったり追加したりと推敲していきます。2年生、あとひと踏ん張り!ガンバレ!

 

 

 

 

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