2021年7月の記事一覧
7月26日フィールドワーク「樹液食昆虫(ほかなんでも)観察/採集」
観察/採集といいながら、本当のテーマは「樹液食昆虫の受難」から環境問題を考えることにあります。
出発する前に、集合場所の教室でちゃんと前もってレクチャーしました。
内容に関しましては、実はこの生物部ホームページ上で一昨年、2019年8月1日付で100%述べてあります。
すぐにご覧になれますので、ぜひまずは該当部分をご一読ください。
(読者の皆様が前述の記事を読み終えた体で…)ということでして、おそらく樹液食昆虫には出会えないでしょう。運が良ければカナブンやシロテンハナムグリがいるかも…
ポイント① 校内ハンドボールコート奥
ここには、近年大流行の庭木「シマトネリコ」が大きめに育った状態で数本あるのです。
少し前のニュースで、学会の学者たちにも絶賛された、埼玉県桶川市の小学6年生が発表した「カブトムシは夜行性ではないかも」という研究にでてきたあの木です。クヌギなどと違い、この木の場合、樹液は別昆虫の仕業によって出されるのではなく、カブトムシが自分で傷をつけて出すのです。樹皮は簡単に傷つき、簡単に樹液が出るようです。必ずどのシマトネリコにも来る、というわけではないのですが、当たるとそれこそ気持ち悪いくらいたくさんやってきて鈴なりになります。そういう状況を顧問も自宅近所で1度だけ見たことがあります。
さて、数日前に本校業務主事さんがこの場所で保護したカブトムシ数匹を生物部にくださいました。ここの木は「カブトムシがつけた傷」が多数あることを一昨年確認済みです。ところが、「カブトムシがたくさんいる」と話題にはなりません。実はカラスが天敵で、見つかるとみな食べられてしまします。カブトムシもクワガタも、個体や種類によってレンガ色のものもいますが、たいていは黒~こげ茶です。暗い色は日中目立ちます。それがゆえ、「夜行性」が完全に否定されたわけではありませんが、要するにそこに餌があれば夜も昼も食べ続けている、ということです。結果として、本校のシマトネリコにくるカブトムシは、来店から朝までオールナイトして昼は迎えられず、100%近く食べられています。職員玄関の階段にも毎週数匹ずつ転がっていますが、やはりシマトネリコの下にも相当な数の食べかす(頭や脚や前羽や上半身)が散乱していました。
ついでに、「中身入り」のセミの幼虫です。7年間、土中で木の根の汁を吸い、いま、羽化せんと地上に出てきました…が、時間は15:00くらい。ちょっと早すぎましたね。「空蝉」ではない状態を見たことがある部員はほとんどいません。
アブラゼミのメス。貴重な学習素材でした。
ポイント② 中川沿い
さて、いよいよ自転車に乗って、校外へ移動します。かつて本校が持久走大会でコースとしていた中川沿いのクヌギを目指して出発。正門を出て10分ほどの地点です。
いましたカブトムシ!よかった!野生の本物を見せられます!
上の写真の、右端の太いクヌギの黒いしみの中央です!
じつはこの場所は、一昨年の8月1日の場所とは違います。あそこのクヌギは4本中3本切られてしまっていました。かわりに、ここは部員が短時間で学校から自転車移動できる範囲にやっと見つけたポイントなのです。
カブトムシの上のほうには、小さな樹液食昆虫「ヨツボシオオキスイ」も見えます。昔はこの虫が出ると「ああそろそろカブトクワガタの季節だなあ」と思ったものです。
このこは、結局ひきはがして一通り観察したあと、もとの樹液に戻しました。このままだとカラスのおやつかもしれませんし、どこかの少年が捕まえるかもしれませんが、なぜか顧問も部員もなんとなくリリースするモードになりまして。
このカブトムシは、自転車部隊を先導する顧問が到着寸前にすぐに見つけてしまったのですが、部員が自ら何でも見つけてほしいと思いますので、あらためてそのように指示しました。
樹液食昆虫に絞るなら、目視で樹液を探すのは基本ですが、チョウなどが目印になることも多いです。
部員たちがもう2か所、樹液の出ているポイントを見つけました。
まずはコクワガタのメス(のおしり)です。ヨツボシオオキスイも2匹写っています。
次は幹ではなく太い枝です。
ゴマダラチョウ4匹と、クロカナブンのおしりです。
カナブンは思いのほか敏感。ここは地上3m前後なのに、この直後クロカナブンは何かを察したか落ちるように離脱して飛び去ってしまいました。
ポイント③ 庄和公園
さて、 最後の目的地へ移動。学校からは自転車で15分の距離にある庄和公園です。自然の森ではないので、臨床は落ち葉が掃かれていますが、クヌギを含め樹木がふんだんにあります。まずは1か所目で各自採集活動。
C先輩がイトトンボ(詳細不明)、D君がアカトンボ系(詳細不明)とクロアゲハとショウリョウバッタのメスの幼虫を捕まえました。
G君かH君がニイニイゼミも捕まえました。
2か所目へ移動。樹液食昆虫狙い。
ひどい!立派なクヌギが20本くらいあるのに。樹液ゼロです!先ほどの中川沿いの樹液も入れて、この範囲で樹液が出ているクヌギが2本、樹液が合計3か所のみです。クヌギ自体も、中川沿いのもの含め、昔に比べて「きれいなもの」です。昔は、クヌギといえば生育段階初期から様々な昆虫がさんざん寄生して、幹は様々な形にボコボコ変形し、毎年のように大量の樹液をたらし、めくれなどの中にはクワガタがたくさん身を隠していたものです。
そして臨床は公園とは言えカラッカラ!落ち葉のマットをどけても乾燥しきっています。これでは生き物たちはたまりません。想像以上によくない状況でした。
薄曇りになっていましたが、大変暑く蒸す日でした。獲物は少なく、教室に戻った部員たちは少々疲れていましたが、直前レクチャー内容が納得できる貴重な観察はできたと思います。次はまた状況が変わったら来たいと思います。
5月31日フィールドワーク「2回目の水生生物取り」
だんだんと用水路の中も「部活の学習材料にしやすい生物」が増えてきました。
本校は敷地の1/4に接する用水からして色々いますから、この環境を見逃す手はありません。
本校の敷地と国道16号線との間に広がる田園の用水で「ガサガサ」を実施しました。
いろいろいる…とはいえ、部員たちも時代柄ガサガサに慣れ親しんでいるわけではありません。
それぞれ苦労しながら、色々と捕まえました。
この用水には目視で本当に獲物にあふれており期待しましたが、1本網ではうまく網に魚などを追い込みにくい状況でした。顧問のほうで近くの別の猟場を案内します。
こちらは用水の幅も50cmくらい、水深も10cmないくらいで、さすがにみんなここでは次々に、おもにザリガニを捕まえていました。この「捕れた」という成功体験が大事です。
自分だけなら無視するアマガエルですが、部員が捕獲したなら話は別。このこはこの後飼育しはじめて、以後ずっと順調です。
トウキョウダルマガエル。
このこは飼育を始めたものの、顧問が間に合わせで作成した蓋の開口部分を跳ね飛ばして生物室内に出てしまい乾燥死してしまいました。飼育者側の手落ちです。部員たちにもそのまま伝えました。
ドジョウ。
一昨年同じ場所で捕まえたドジョウに違和感を覚え、調べた結果おそらくカラドジョウという外来種だろうと判断しHPにも掲載しました。今回のこのこ!そうそう、これこれ!むかしながらのなんの違和感もない普通のドジョウ!カラドジョウ?は当時の3匹が今でも生きていますが、比べるとやっぱり違う!
アメリカザリガニ。
このところニュースで騒がれている、いよいよ「特定」外来種に指定されるか、という生物です。追って出回ったニュースでは思いのほか柔軟な対応になりそうですね。数が多すぎ、環境に入り込みすぎ、あまりしゃくし定規な決まりにしても違反取締や罰則が追いつくはずもなし、飼育登録手続きを面倒に思う者の新たな違法放逐まで考慮しているとは…ちゃんと実情を考えた有効な制限になりそうですね。本部活でもその日がくれば決まりに従わねばなりませんが、早くても2023年とのこと、まずは一人一匹名前をつけて、飼育開始。