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2022年5月の記事一覧

校内不定期生物展示① 植物「ムサシアブミ」

以前より、生物部で管理している飼育栽培動植物を、ポップ付きで校内に期間限定で展示出来たらいいなと考えていました。ちょうど、華道部の生け花や美術部の絵画が校内に展示されるような感覚です。

生徒たちや教職員にどんなふうに受け止められるかな、まずはやってみよう、ということで、第一弾は植物で「ムサシアブミ」です。一般の認識では珍しかろうと思われます。キレイな花ではありませんので、いわゆる「お花」好きな園芸ファンの方々ですと見向きもしないかもしれないモノです。

昨年度の文化祭で行った展示のワンコーナーに「種の多様性を考える」コーナーがありました。そこでテーマにしたのが園芸業界に凄い割合で出回っており見た目の差も激しい「サトイモ科」の植物でした。今回のムサシアブミは、その名残です。当時は「葉っぱが1枚しかない」若い株でしたが、部員がしっかり管理してくれて、今年は「葉っぱが2枚+花」まで成長しました。ちなみにこの仲間は葉っぱは2枚でMAXですほくそ笑む・ニヤリ

なんとなくムサシアブミ以外の勝手に生えた雑草もそのままにして展示しましたので、上の写真でいうと鉢を埋め尽くすもしゃもしゃした葉と50cmほど高く伸びる黄色い花のある穂は、タビラコという雑草です。

この、クローバーのように三つ又に複葉が分かれる大きな葉がムサシアブミ。こちら側の3複葉で1枚目、奥の3複葉で2枚目、どれほど成長しても2枚しか葉を付けない仲間です。ちなみに球根植物です。

↑「花」と言いたいところですが、花を覆う「苞(ほう)」という部位です。苞の形状が、馬具の「鐙(あぶみ)(さかさですが)」に似ているので、昔の良質の武蔵野国の鐙になぞらえて「ムサシアブミ」。分かりやすい苞の例としまして、ブーゲンビリアの赤やピンクの部分をお考え下さい。同じサトイモ科では、例えばミズバショウの白い部分のことです。ミズバショウは黄緑色で棒状の「花穂」はむき出しですが、ムサシアブミの仲間ですと、花穂棒はしっかり苞に覆われていて外からはちょっとしか見えません。

ムサシアブミの苞がそもそもどういう形状なのか、写真でも分かりにくいでしょうが、言葉でわかるように説明するのはさらに大変です。家庭料理用の金属製トングのスプーン状の部分をクルっと巻いたような…で分かりますでしょうか?

 

先日、たまたま展示場所を通りかかりますと、職員が2人これを話題にしておりまして、私も加わりました。そこにさらに1人増えて、楽しく会話できました。職場内のことですが、こうして話題にしてもらえるのは、ありがたいことです。

 

5月13日現在、(株が小さいと雄花にしかならず、しかもすぐしおれるので)苞も中身も花穂全体が枯れてしまったので、タダの草となりました。撤去します。次は、同じ仲間の「オオハンゲ」を予定しております。また、動物シリーズもおいおい考えていきたいと思います。

 

 

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5月9日 苗の整理

毎年、年度当初に自己紹介カードを部員に書いてもらい、冊子にして部内に配布しております。

カードの中のアンケート項目で、動物・植物それぞれへの興味の強さを5段階で答えてもらうところがあります。

意外に思うのが、植物への興味もなかなか高い、ということです。MAXの5と答える部員もいますし、多くが4に〇をつけています。自然を対象にした子供の遊びをイメージしても、虫取りや魚取りに比べ花摘みやら草関係の遊びは地味に思えてしまいますので…興味があるのはいいことです!

 

今日は雨。校内で全体活動を行うならば、生物部管理の苗を整理しながら植物について学習しましょう。

 

生物部が屋外で植物関係を置かせてもらっている中庭の角には、大きな植木鉢から最小のビニールポットまで、形状も様々な入れ物に、多種多様な苗が植わっています。

ビニポット苗で埋め尽くされた苗トレーが6,7枚で、これが今回の活動対象。

10人が同時に作業できるよう、まずは雨の当たらない中庭ベランダ下に、間隔をあけてトレーを並べました。

去年の夏の校舎改修工事あたり以降、係が水やりだけはやり続けた以外は放置状態でしたので、不要な雑草が繁茂していたり、一部枯れていたり。

まずは「雑草除去」「枯れてしまった苗の除去」「何も植わっていない(ように見える)ポットを別に回収」です。

現存の苗の植え付けに関わったのはかろうじて3年生BさんCさんだけですので、雑草除去に関しましては顧問が個々に細かく指示をしました。でも各自である程度予測して「当たった~」「はずれた~」と言っているのは、いい傾向です。

水やり係以外は「親近感のない」苗ですが、みんな1つ1つ丁寧に作業してくれました。

苗の整理が終わったら、せっかくですので、各自1ポット、種を植え付けて半年ほど育ててもらいましょう。

ちょうど、教育公務員弘済会さんから配布された「アスター」の種がありますので。

こういう種って、植えない人はどうしているのでしょう?まさか捨てている?

そこらへんに蒔いてしまうと、それはそれで外来種問題にもなりかねませんし。

種をざっと数えたら、1人4粒はいけそうでした。まずは「何も植わっていないように見えるビニポット」を各自1つ選び、土の表面になるべく等間隔になるように軽く指で穴をあけて、あとは1人ずつ自分のポットに種を植え付けていきます。

(上の写真では分かりませんので)風が当たらない廊下側で、たまたま持っていた小さい書類入りのクリアファイルを床に置き、種が目立つよう書類の裏面の白い部分を利用して、種を並べました。

各自、種を穴に置き、上から厚さ1cmくらいの感覚で土をかけ、名札に(花名でなく)記名して差し込み、最後は水やりです。ジョーロから、そーっと注がないと種を含め土が攪拌されてせっかく並べて植え付けたのがわけがわからなくなるよ、と助言しましたが、まあ…半数は種が水面に浮いてきて「これ種?これ種??」状態に興奮・ヤッター!

 この「各自管理のポット」だけは、水やり係にも「自分のものだけ世話をするように」指示しました。

部員たちに、よその生命を手元で管理する責任も、植物バージョンで一緒に学んでもらいましょう。

 

今回の学習点を1つ挙げると、植物の大原則として、地上部と同じくらいのボリュームが地下にある、と考えるべきであることがあります。もちろん樹木と草、あるいは種類によって大小はありますが。小さなポットにどんと苗が植わっていれば、地上部は原則水分を一方的に蒸発させるだけですので、ポット内の非常に限られた土壌からぐんぐん水分を奪って、ポットはあっという間に乾燥してしまいます。これが、本来は自然界で無限に続く地面に生えている植物を、人工的に狭く閉じられたポットにて栽培することの実情です。週3回の水やりでも、実際すこし不足でした。

 

最後に、この機会に生物部が屋外で管理している植物をリストアップしてみます。 

※用語「実生苗」=「種を蒔いて発芽から育てた苗のこと」

 …種から育てたものと、実生苗でも苗状態で植え付けたものと区別します。

★ビニールポット苗

●樹木

 ・シマトネリコ(人気園芸種。顧問自宅から苗状態で持参、生徒植え付け)※苗多数

 ・ハナイカダ(オスメス別株。顧問自宅から苗状態で持参、生徒植え付け))※苗多数

 ・クヌギ(顧問自宅の庭の「虫寄せ」用かつシンボルツリーのクヌギから落ちたドングリからの実生苗)※苗多数

 ・ハナモモ(顧問自宅の庭にある、昔とある緑化体験研修で苗でいただいた木由来。勝手実生苗を顧問自宅から苗状態で持参、生徒植え付け)※苗数本

 ・(顧問自宅の庭に種が落ちて増えて/勝手に生えてきて、不要なので抜いて利用した)アオキ、ナンテン、ケヤキ、ビワ、イロハモミジ、ツゲ、ヤマボウシ、マンリョウ ※各1~数株程度

●草本

 ・シロバナタンポポ(顧問が昔通勤路途中から種を得て自宅で増やした株由来の実生苗)※苗残多数

 ・ヤマノイモ(顧問が自宅から持参したムカゴを利用した実生苗)※苗多数

 ・(複数生産ではない単発もの)ショカツソウ、オオハンゲ、ムサシアブミ、カンスゲ、シラン、オランダカイウ、ウスジロノゲシ(※激レア)、ノイチゴ、チドメグサ、オニヤブソテツ ※各1~数株程度

★植木鉢苗(ほぼ、鉢が大きい順)

 樹木:ナンテン、ヤマボウシ、カクレミノ、ハナモモ、スギ、イチョウ

 草本:アサガオ、トクサ、セキショウ、サトイモ、ムサシアブミ、オオハンゲ、ハンゲショウ

★かつて栽培しており、こぼれ種がプランターなどに生き残った苗

  ツユクサ変種(花の色変わり)、カラシナ、アマナ

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