2023年5月の記事一覧
【生物部】5月1日(月)飼育生物の担当シャッフル 5月8日(月)今年度初フィールドワーク
5月1日(月)飼育生物の担当シャッフル
5名の新入生を迎えて、1学期の飼育生物の担当者をシャッフルすることにしました。と言いましても、くじ引き状態ではなく、ある程度自由に選んでもらいます。
寂しいですが、私が部員2名→すぐ1名…という状態から顧問し始めたこの部活を、すっかり部活らしくしてくれた、6名の3年生の引退もせまっています。生徒から「引退したいのですが」と申し出て来るのが、かつてのAさんもBさんCさんも、6月いっぱい~7月あたまくらいでしたので、成り行き上、「いつ引退しなさい」とか「文化祭までいなさい」とかは言っておりません。だいたい例年通りの時期になるかなと。そうすると、DさんNさんHさんIさんFさんEさんも、あと2か月ないくらい、ということになります。その辺りも加味して決めていきます。
世話対象生物を板書して、1年生から1種類(1ケージ)ずつ選んでもらい、2年生、3年生とまず全員1種類、主担当を決めました。先輩、特に3年生に関しては、是非継続して面倒を見たい、ということがあれば、同じ生物を選んでも良い、また早い者勝ちではなく、希望が重なればじゃんけんで、としました。結局じゃんけんシーンはなく、2種類目からは1年生2年生のみで埋めていき、全ての生物に「副担当」が入るまでやりました。
新担当が決まったら、こんどは1年生に1種類目(難しそうな方)の生物の前に移動してもらい、旧担当は世話の仕方を教えに言ってもらいました。この作業で手が空いた先輩たちは、いったん新担当生物の世話を始めてもらいました。その後、教え合いながら、シャッフル後初の全ての生物の世話を終えました。・・・また文ばかりで、写真はどうしたのかと言いますと、すみません!この時はカメラを用意しませんでした。そういう時に限って、生物を前に交流する先輩後輩の姿にとても「シャッターチャンス」が多く、後悔しました。
5月8日(月)今年度初フィールドワーク
1週間後、前回の宣言?通り、初フィールドワークに出かけました。朝は合羽を着て出勤したくらいで、天候を危ぶんだのですが、午後は予報通り晴れ。今回は3年生が1年生の時に行った「古利根川」の川べりを選びました。
経験上、雨による増水の後はたも網採集で捕れる生き物は少なくなるのですが、一時的水域※にはまだ水が入ったばかりかまだ入っていないかで、それこそ「水生生物」の採集には向きません。
※生徒にも出かける前に説明しました「一時的水域」
例えば関東平野は大昔は広大な雑木林だったはずですが、そこを人類が水田地帯にして2千年?こうした「1年中水があるわけではない、人間の都合で水の有無が決まるような環境」を、一時的水域と呼びます。人間の作りだした環境ではありますが、すでに野生生物がそこに入り込んで長く経ちます。水田そのものやそのわきの細い用水路は、特に田植えから夏くらいまでは、魚や両生類、水生昆虫類などにとりまして、「あとで秋に水が1年中ある本流に子どもが戻れないリスク」を冒してでも繁殖行動をしたい場所なのです。つまり、浅く流れの無い水域で、稲が生長するまでは日の光をたっぷり受け、水中には動物プランクトンも植物プランクトンも爆発的に増殖します。流される心配のない、餌を食べ放題の温かい天国で、稚魚や幼生たちは効率よく成長できます。ただし、水田や脇の用水路から水が無くなる前に、1年中水がなくならない水域まで移動できなかった水棲動物たちは、ほぼ死ぬしかありませんが(ドジョウやタニシ、ザリガニ、場合によるとメダカでも、乾かない泥の中で冬眠のような状態になるケースもあるようです)。
ということでして、水生生物探しに今日いくなら、やはり古利根川かなと。担当生物の世話が終わって、講義的な説明も終えると、皆で自転車で出かけました。
せっかくなので、漁場を荒らすことになったとしても、まずは1年生から網を入れてみましょう。その前に、水中の様子や生物たちの動きを予測して網を動かしてみましょう、さあどうぞ!…と言っても、やっぱり「初めての行為」である者が多いらしく、まずは先輩たちから簡単に説明が。
1年生になにやら一所懸命説明する部長さんDさん(ジャージ姿)と、見守る理系男子NHIさんたち(左の階段の3人)。
伸ばせるタイプの網の伸ばし方を教わる1年生女子Oさん。
わさわさ、始まりました!
「緊張する」…いいじゃないですか、なにも捕れなくても、練習です。と言いつつ、なんだかんだと多少は捕れるものです。1年生QさんRさん、楽しんでくださいな。
今回の獲物の紹介は最後に。
またいつものように?副産物です。フィールドの脇の雑草(ギシギシという草)を見ると、いいネタが!
この芋虫、知らない人にはどうみても蛾や蝶の芋虫にしか見えないと思いますが、なんと蜂の幼虫なのです。
ハバチといいまして、たしか成虫には針もない、原始的な蜂の仲間です。メスは巣を作らず、つまり子育てをせず、蛾の仲間同様、卵は植物に産み付け、幼虫は名前の通り葉を食べます。この仲間、意外と種類数は多いのです。コレは比較的多く見かける「ハグロハバチ」の幼虫…などと知っていた風に申し上げますが、私が幼少の頃よりハバチの仲間にあまり興味がありませんでしたので、ハバチの幼虫であること以上は、つまり「何ハバチ」かまではわかりませんでした。そこでスマホ、です。便利ですな。
たくさんいて、それこそキモチワルイのですが、まあ、私は手のひらにのせて近くの部員に紹介しました。早速食いつく1年生Oさん、3年生Fさん、Eさん。Eさんは虫だけは触れない人ですが。さすが生物部、女子2人はキモイキモイとさわぐどころか「カワイイ」「こっちの子達は色が悪い」とか、楽しんでくれました。
さあ、生物室に戻ってきて、解散します。
ちなみに本校では、1学期中間考査までは1年生は部活は6時まで、という決まりがあります。ちょこっと過ぎてしまいましたので、簡単に最後の話をして、1年生は先に解散しました。先輩たちで、網洗いと網干し、獲物の行き先への移動等をしてもらって、終わりにしました。
獲物を確認しましょう。
ヤゴ(トンボの幼虫)と、何かの稚魚(多分、モツゴ…関東名クチボソかと)。
このタイプのヤゴは全部で大中小3匹捕れました。このほっそりして尻にプロペラのようなものが付いているのは、カワトンボ系のトンボです。この辺りで見かけるのはメタリックグリーンの胴体に真っ黒な羽の「ハグロトンボ」でしょう。
一番ちいさなヤゴです。体形パターンは同じですが、ちょっと作りが寸胴で、どうも種類が違うようです。
カワトンボ系ではないなら、広くは同じグループのイトトンボ系の幼虫か…?
なんだか分からない水棲昆虫の幼虫も捕れました。拡大すると頭に牙らしき影もあり、ゲンゴロウ系の幼虫??
飼育してみて「肉食感」が強ければ、そうかもしれません。あ、もちろんゲンゴロウの仲間は絶滅危惧種が多いので、例えば1月にとうとう商取引が禁止される直前に購入して生物室で飼育している「ナミゲンゴロウ」とかの幼虫ではなく、まだその辺にある程度生息している種類の、でしょう。
全体はこのような感じです。状況的に上々です!
解散後、生物室から夕陽を臨んで。環境問題は心配ですが、今年も生物たちが躍動する季節が巡ってきました。